はじめに
本日、日本商工会議所第140回通常会員総会が盛大に開催されますこと、心よりお祝い申し上げます。
賃上げについて
わが国の経済は、今、明るい兆しが出始めています。1月には、2030年度に135兆円、2040年度に200兆円という野心的な国内投資の官民目標が経団連から表明されました。春季労使交渉では、大手各社は昨年に引き続き、大幅な賃上げを表明いただいています。
この勢いを、地方の中小企業・小規模事業者の賃上げにつなげていきたいと考えています。そのためには、わが国の雇用の約7割を占める中小企業が、賃上げ原資を確保できるようにする必要があります。その鍵となるのは、価格転嫁・取引適正化であり、取り組みを強化してまいります。
先週国会に提出した、下請法および下請振興法の改正法案には、協議に応じない価格決定や、手形払いを禁止する内容を盛り込みました。サプライチ ェーン全体で価格転嫁を定着させ、深い取引段階まで適正取引の浸透を目指します。
また、石破総理からは、価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けて取り組むよう指示をいただいています。各省の協力を得ながら、さまざまな業界に対し、ハイレベルでの取引適正化の要請を行ってまいります。
毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」の着実な実施、取引実態の情報収集体制の強化、労務費指針の周知徹底、パートナーシップ構築宣言の実効性強化などにも取り組みます。
企業の「稼ぐ力」の根本的な強化に向け、中小企業の生産性向上や省力化投資を進めるとともに、地域経済をけん引する中堅企業や、売上高100億円に挑戦する中小企業の成長投資の支援も行ってまいります。
米国の関税措置について
海外に目を向けると、米国のトランプ政権がさまざまな関税措置の動きを見せています。先週、私は米国を訪れ、ラトニック商務長官をはじめとした関係閣僚と会談を行いました。わが国の対米投資の実績や、米国の産業・雇用に対する貢献を説明し、米国の関税措置が発動されれば、わが国の産業だけでなく、米国への投資や貢献にも好ましくない影響を及ぼし得ることを説明しました。その上で、関税措置について、わが国が対象になるべきでない旨を申し入れたところです。
米国側からは、日本のこれまでの貢献を非常に重く受け止め、日本を重視している旨の発言があり、日本の立場に一定の理解を得られていることを感じました。こうした理解をいただきつつも、関税措置は米国の製造業や雇用の復活を目指すものであるとの説明があり、今回の会談では、残念ながら、わが国の除外を確認するには至りませんでした。
今後、どのようにすれば両国の国益をウィンウィンにしていくことができるか、引き続き緊密に協議することを確認しました。日本の産業界の皆さまの声をよく聞きながら、粘り強く協議してまいります。
エネルギー政策について
先月、第7次エネルギー基本計画とGX2040ビジョンを閣議決定しました。DXやGXの進展による電力需要の増加が見込まれる中、脱炭素電源の確保が重要であり、再エネと原子力を共に最大限活用していく方針を示しました。今後、脱炭素電源を確保しつつ、これを新しい産業集積の起爆剤とするような施策を打ち出してまいります。
大阪・関西万博について
最後に、大阪・関西万博の開幕まで残り25日となりました。万博の魅力や見どころの発信を一層強化し、一人でも多くの方に訪れ、楽しんでいただけるよう、全力で取り組みます。これまでも皆さまから多大なご協力をいただいておりますが、万博を成功に導けるよう、引き続き連携させていただきたいと思います。
終わりに
結びになりますが、日本商工会議所ならびに各地の商工会議所のさらなるご発展とご健勝を祈念いたしまして、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。