中小企業庁は3月28日、「令和6年中小企業実態基本調査速報(令和5年度決算実績)」を公表した。調査によると、中小企業1企業当たりの売上高は前年度比0.3%減の2.1億円。従業者数は前年度比2.7%減の9.7人で共に減少した。設備投資を行った法人企業の割合は22.0%。事業承継については「まだ考えていない」とする企業割合が41.6%と最も高かった。
同調査は、中小企業の財務・経営情報や設備投資の動向などを把握するため毎年行っているもの。「建設業」「製造業」「情報通信業」「運輸業・郵便業」「卸売業」「小売業」「不動産業・物品賃貸業」「学術研究・専門・技術サービス業」「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」の合計11産業の中小企業から約11万社を無作為に抽出して実施している。今回の調査では、有効回答4万5135社(有効回答率41.1%)を基に推計した。
調査によると、中小企業1企業当たりの売上高は2.1億円(前年度比0.3%減)、経常利益は991万円(同1.3%増)。従業者数は9.7人(前年度比2.7%減)で、経常利益は増加したが売上高と従業者数は前年より減少した。
中小企業の売上高の産業別構成比を見ると、卸売業(27.5%)が最も高く、次いで製造業(20.7%)、小売業(14.4%)の順となっている。売上高が減少しているのは不動産業・物品賃貸業(前年度比20.1%減)、建設業(同4.8%減)など3産業だった。
従業者数の産業別構成比については製造業(20.4%)が最も高く、次いで小売業(15.3%)、建設業(11.1%)の順となり、前年と比べると宿泊業・飲食サービス業(前年度比8.4%減)、製造業(同5.5%減)など8産業で減少した。
設備投資を行った法人企業の割合は22.0%(前年度差0.0?増)。産業別に見ると、増加しているのは運輸業・郵便業(同8.2ポイント増)、小売業(同2.8ポイント増)など5産業となっている。また、新規リース契約を行った法人企業の割合は13.0%(前年度差0.5ポイント増)だった。
中小企業の事業承継に関する状況について見ると、社長の就任経緯別構成比は「創業者」(49.7%)、「親族内での承継」(39.3%)が高い。創業者は学術研究・専門・技術サービス業(73.2%) や宿泊業・飲食サービス業(69.6%)などで高く、親族内での承継は製造業(58.1%)、不動産業・物品賃貸業(52.6%)などで高い。
事業承継の意向については、「今はまだ考えていない」(41.6%)が最も高く、次いで「現在の事業を継続するつもりはない」(26.5%)、「親族内承継を考えている」(22.0%)の順となっている。
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