政府は12日、「第33回未来投資会議」を首相官邸で開催した。会議では、政府が検討を進めているデジタル・プラットフォーマー取引透明化法案の在り方などについて議論した。デジタル・プラットフォーマーとは、オンラインモールなどを運営する企業のこと。その必要性が高まる一方、利用事業者との間で契約条件の一方的な変更など、取引上のさまざまな問題も顕在化している。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、日本の産業競争力の源泉になり得るデジタル・プラットフォームという仕組みを健全に発展させることが最も重要との考えを示し、「取引の透明性・公平性を確保しつつ、プラットフォーマーのイノベーションマインドを損なわないような戦略的なルール整備を、関係者の粘り強い取り組みを通じて実施されることを強く期待している」とコメントした。
未来投資会議で議論
デジタル・プラットフォームは、中小企業・ベンチャーにとって市場アクセスの可能性を飛躍的に高める一方、利用事業者との取引において、契約条件やルールの一方的押し付け、サービスの押し付けや過剰なコスト負担、データへのアクセスの過度の制限などの問題が生じる恐れがあると指摘されている。このため政府は、こうした取引実態が不透明となる恐れに対応しつつ、イノベーションを阻害しない形で可能な限り自主性を尊重したルールとして、デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案の提出を検討している。
三村会頭は、「公正取引委員会において、事業者・消費者への包括的なアンケート調査や聴き取り調査などを通じ、取引実態の把握と競争政策上の考え方の整理を精力的に進めているのをはじめ、政府全体としても、デジタル市場の競争政策に関し、世界に追い付き追い越さんとする議論に意欲的に取り組んでいる」と政府の取り組みを評価した。事業者間における取引上の問題については、「大手プラットフォーマー間の競合激化に伴う負担が中小企業にしわ寄せされているという面もあると考えられる」と指摘。法案について、「大企業と中小企業が、経済全体の付加価値を高め合う共存共栄関係を構築するためのルールづくり、という観点からも注目している」と述べた。
安倍晋三首相は、「新たな法律においては、取引を拒絶した理由の開示など、取引の透明化を求めていく。この際、イノベーションを阻害しない形で、可能な限り自主性を尊重したルールとする」との考えを示した。
最新号を紙面で読める!