日本商工会議所の小林健会頭は6月5日、定例の記者会見で、米国政権の鉄鋼・アルミ関税の引き上げについて、「政策の一貫性などが欠落した中で、ただ権力で物事を動かしていく姿勢には極めて違和感がある」と遺憾の意を表明した。一方、「日本側から見れば、経済全般に対する影響は限定的だと思う」との見方を示した。最低賃金については、法定3要素(物価、賃金、事業者の支払い能力)に基づく審議の重要性を改めて強調するとと もに、地域ごとに異なる実情や要因を考慮した上での適切な判断が必要との考えを示した。コメ価格の変動については、「農政の基本的な問題を考え直すべき時期に来ている」と指摘。今後の価格については、「下がるかどうかは見通せない」と述べた。
小林会頭は米国が鉄鋼・アルミ関税を25%から50%へ引き上げたことについて、「政策の一貫性、それを裏付けるフィロソフィー、そして世界経済に対する思いやりが欠落した中で、ただ権力で物事を動かしていこうという姿勢には極めて違和感がある」と遺憾の意を表明。また、「日本から輸出している鉄鋼は、自動車向けを中心とした高付加価値鉄鋼が主体であり、日本から調達して米国内で加工する企業にとっては、この関税は負担が重く、コストアップも激しいだろう」と指摘した。一方、「日本側から見れば、絶対量が多くないため、非常に苦しくなる分野はあると思うが、経済全般に 対する影響は限定的だと思う」との見方を示した。
最低賃金については、「法定3要素に基づく十分な審議が行われることが重要」との考えを改めて強調。「中央最低賃金審議会による目安はあるが、地域ごとに異なる実情や要因を考慮し、慎重に議論を重ねた上で、適切に判断してほしい」と求めた。また、目安を超える引き上げが行われた場合に国が補助するという政策案については、「そこまで無理をして最低賃金を引き上げる必要があるのか」と疑問を呈した。
コメ価格の変動については、「減反政策や護送船団方式の下、政治的な力にも支えられて農政が行われていたが、そうした時代はすでに終わっている」と指摘。「十分な生産能力を持っているにもかかわらず、生産を意図的に抑える政策は疑問」と強調した。今後の価格については、「下がるかどうかは見通せない」と述べた。