政府は6月6日、第35回新しい資本主義実現会議(議長・石破茂首相)を開催し、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版案」を取りまとめた。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5カ年計画」に基づく施策パッケージの迅速な執行に期待を表明。また、改訂案に経営支援体制の強化が盛り込まれたことについて高く評価し、「商工会議所としても、総力を挙げて各地域の中小企業・小規模事業者の挑戦を後押ししていきたい」と述べた。
最低賃金については、日商調査において、「20年代中に全国加重平均1500円」とする政府目標に対し、中小企業の7割超が「対応は不可能もしくは困難」との回答だったことなどに触れ、「実態を踏まえた目標とは言い難い」と指摘。法定3要素のデータに基づく議論を基本とした政策決定を求めるとともに、毎年の改定額についても、中央・地方の審議会において、データによる熟議の下、納得感のある決定が進むことに期待を示した。
石破首相は、「賃上げこそが成長戦略の要」と述べ、29年度までの5年間で、実質賃金上昇率1%を新たな水準の社会通念(ノルム)として定着させることを新たな目標として掲げるとともに、人手不足が深刻な12業種において、「省力化投資促進プラン」に基づき官民で省力化投資を推進する方針を表明した。
最低賃金については、「国が賃上げと価格転嫁の先導役となり、デフレ時代に固定化されたあらゆる制度の見直しを進める」と述べ、官公需の価格転嫁の徹底や、医療・介護などの分野における公定価格の引き上げなどに取り組む方針を示した。