政府は6月13日、「エネルギー白書2025(2024年度エネルギーに関する年次報告)」を閣議決定した。エネルギー白書は02年6月に成立した 「エネルギー政策基本法」に基づく法定白書として、04年から毎年作成しており、今回が22回目。今年の白書は、「エネルギーを巡る状況と主な対策」「24年度においてエネルギー需給に関して講じた施策の状況」の2部構成となっている。
第1部の第1章「福島復興の進捗(しんちょく)」では、復興・再生は着実に進展しているものの、「中長期的な対応が必要」との認識を強調。被災地の実態を十分に踏まえた施策の具体化の継続と、復興に向けた道筋のさらなる明確化に取り組む方針を表明するとともに、ALPS処理水の処分、特定復興再生拠点区域・特定帰還居住区域の整備、福島イノベーション・コースト構想の推進・進捗状況などについて記載している。
第2章「グリーントランスフォーメーション(GX)・50年カーボンニュートラルの実現に向けた日本の取り組み」では、脱炭素を巡るわが国の対応を解説。わが国を取り巻く近年の環境変化について、ロシアのウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化などにより、エネルギーの安定供給やエネルギー価格に影響を与えるリスクが顕在化し、経済安全保障上の要請が高まっていると指摘した。また、DX・GXなどの進展によるデータセンターや半導体工場の新増設に伴い、電力需要が増加に転じることが見込まれており、必要となる脱炭素電源の供給が確保されるよう万全の備えを行うことが重要との認識を示した。
日本の温室効果ガス排出・吸収量については、50年ネット・ゼロの実現に向け、減少傾向は継続しているものの、「予断を許さない状況」との認識を強調。35、40年度において、温室効果ガスを13年度からそれぞれ60%、73%削減することを目標に掲げた新たな「日本のNDC(国が決定する貢献)」を国連気候変動枠組条約事務局に提出したことなどを報告した。