日本商工会議所は7月17日、「『観光立国推進基本計画』改定に向けた意見~地域の持続的発展に向けて、観光があこがれの産業になるために~」を取りまとめ、公表した。意見書は、政府において新たな中期計画策定に向けた議論が進む中、全国の商工会議所・事業者などから寄せられた意見を踏まえ、観光・インバウンド専門委員会で取りまとめたもの。今後、関係閣僚や省庁に対し、意見内容の実現を強く働き掛けていく。
意見書では、人口減少に直面する地域の「稼ぐ産業」として、観光に大きな期待が寄せられているものの、オーバーツーリズムや国内旅行者数の伸び悩み、人手不足による供給制約など、「観光を巡る課題は山積している」との認識を強調。こうした中で観光が持続的に成長・発展していくためには、地域資源を生かした高付加価値化の推進や、事業者・住民が観光の恩恵を実感できる「持続可能な観光地域づくり」の加速化・深化が必要と主張している。
具体的な意見項目としては、①わが国観光が抱える課題と次期計画で目指すべき方向性②次期計画で掲げるべき目標③次期計画の実現に向け国が講ずべき施策――の3本柱を提示。①では、観光を巡る現状や課題を踏まえ、次期計画において「高付加価値化戦略を基軸とした観光産業の成長産業化」「インバウンドの地方誘客による『地方創生2・0』の実現」「伸び悩む国内交流市場の再活性化」の3点を中核に据え、国、地方自治体、民間事業者が一体となって取り組むロードマップが必要と主張した。
②では、「観光が『地方創生の切り札』として、真に地域経済をけん引する成長産業となるためには、高付加価値化産業への変革が必要」との認識の下、次期計画において、観光関連産業から生み出される付加価値額の向上など、「観光産業の成長産業化に向けた目標を掲げるべき」と主張。インバウンドの地方誘客に向けては、地域資源の活用などを通じて地方部での旅行消費向上に資する目標を掲げる必要性を指摘した。国内交流市場の活性化に向けては、観光が「交流を通じた成長を促す文化的行動」であることに着目し、国内宿泊旅行の経験率の増加など、「旅行の裾野拡大に向けた目標を掲げるべき」と述べた。
③では、観光地域づくりの推進体制強化や交通網の整備、観光需要の分散化・平準化や観光予算の財源確保など、目標達成に向け必要な施策を要望した。