日本商工会議所観光・インバウンド専門委員会の志岐隆史委員長と菅原昭彦共同委員長(気仙沼・会頭)は8月1日、国土交通省で中野洋昌大臣、村田茂樹観光庁長官と懇談し、7月1日に取りまとめた「『観光立国推進基本計画』改定に向けた意見~地域の持続的発展に向けて、観光があこがれの産業になるために~」を手交した。志岐委員長は、次期計画において、観光産業の成長産業化、インバウンドの地方誘客などを中核に据えるとともに、その実現に向け、国・地方自治体・民間事業者が一体となって取り組むロードマップを示すよう求めた。
中野大臣との懇談で志岐委員長は「観光の持続的発展・成長には、地域資源を生かした高付加価値化と、事業者や住民が観光の恩恵を実感できる『持続可能な観光地域づくり』の 加速化・深化が必要」と指摘するとともに、「観光が果たす社会的・経済的な意義・役割の発信強化により、観光が地域から、より敬意と共感を得られる『あこがれの産業』になることが求められる」と主張。こうした認識の下、次期「観光立国推進基本計画」において、①高付加価値化戦略を基軸とした観光産業の成長産業化②インバウンドの地方誘客による「地方創生2・0」の実現③伸び悩む国内交流市場の再活性化――の3点を中核に据えるとともに、その実現に向け、国・地方自治体・民間事業者が一体となって取り組むロードマップを示すよう求めた。
菅原共同委員長は、「観光を通じた地域課題解決には、地域経営推進組織として、商工会議所、行政、DMO法人などの役割分担を明確化するとともに、地域の事業者が緊密に連携し、戦略づくりとその実行性確保に取り組むことが重要」と主張。地域の多様な事業者が参画できるようなDMO体制の支援強化などを求めた。また、「国内交流市場の活性化は広い見識の獲得、関係人口の増加、地方移住のきっかけなど、地域課題解決の観点からも重要」と述べ、各地商工会議所が取り組む地域資源を生かしたコンテンツづくりや地域間連携の取り組みへの後押しを要望した。
中野大臣は「インバウンドは好調だが、国内市場拡大も進めていかなければならない。地方誘客を念頭に、地域資源の磨き上げや高付加価値化、観光地域づくりを進める必要がある」との認識を強調。また、「2030年のインバウンド6千万人という大きな目標に向けて、交通網を含め受け入れ環境を整備することも大変重要。オーバーツーリズムが強調されることもあるが、ただ観光客が増えるのではなく、働く人や地域が潤い、地域が持続的に発展することで、観光産業が魅力的な『あこがれの産業』になることが大事」と述べ、意見書の方向性に理解を示した。