奈良商工会議所が地域団体商標に登録出願していた奈良の伝統工芸品「奈良団扇(うちわ)」がこのほど、商標登録された。奈良団扇は日本で初めてつくられたうちわである春日大社の「禰宜(ねぎ)うちわ」に由来する伝統工芸品。透かし彫りの美しさと軽くしなりの良いあおぎ心地が特徴だ。
奈良団扇を製造するのは、地元で170年続く日本で唯一の奈良団扇専門店。奈良市に由来する竹骨に貼り付けた地紙に透かし彫りを施す製法で、天然の材料を使い、全13工程を手作業で1年かけてつくる。竹骨が60~70本と一般のうちわの2倍はあり、竹がよくしなることから透かし彫りが施されていてもしっかりと風を起こすことができる。透かし彫りのデザインは、シカや正倉院文様など奈良らしい模様からインテリア用に細部までこだわった繊細な模様まで非常に多くの図柄がある。
同所担当者は「業界団体がない中で、商工会議所がその役割を担えたことをうれしく思う。今後、PR活動を通して奈良団扇を盛り上げていきたい」と述べた。