経済産業省は8月29日、2026年度予算の概算要求・税制改正要望を発表した。このうち、中小企業対策費は1378億円を計上。25年度当初予算に比べて298億円を上積みしている。基本的な課題認識と対応の方向性として、「厳しい経営環境に直面する中小企業・小規模事業者などに対する価格転嫁対策や資金繰り支援、省力化投資の支援などに万全を期すとともに、構造的賃上げの実現に向けた環境整備を図る」と強調。その上で、中小・小規模事業者の成長に向けた取り組みを支援するため、予算・税などの政策手段を総動員するとともに、事業承継、小規模事業者の活性化、社会課題解決などを通じて地域経済活性化を図る方針を示した。
中小企業庁は「令和8年度中小企業・小規模事業者・地域経済関係概算要求等ポイント」を発表。概算要求などのテーマを①米国関税、物価高、人手不 足などの厳しい経営環境への対応②持続的賃上げ実現に向けた生産性向上を含む中小企業の成長支援③事業承継・再編などを通じた変革の推進④小規模事業者の活性化、社会課題解決に向けた地域における取り組み支援など――の4本柱で提示した。
①では、価格転嫁対策として「中小企業取引対策事業」に37億円(25年度当初予算29億円)と24年度補正予算8・3億円を計上。「価格交渉促進月間」(9月・3月)や、下請Gメンなどによるヒアリング、中小受託取引適正化法(取適法)の執行強化などを実施する。
資金繰り支援としては、中小企業活性化協議会による事業再生支援、事業承継・引継ぎ支援センターによる円滑な事業承継・引き継ぎ支援などを実施する「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」に222億円(同144億円)と24年度補正予算61億円を計上した。
省力化投資促進に向けては、「中堅・中小大規模成長投資補助金」に60億円(同8・7億円)を計上。工場などの拠点新設や大規模な設備投資の促進を図る。
②では、「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go―Tech事業)」に128億円(同123億円)を計上。大学などと連携して行うものづくり基盤技術や高度なサービスに関する研究開発などを支援する。また、中小企業による研究開発に係る設備投資拡大に向け、税制の特例措置を要望。赤字や利益が少ない企業も含めた中小企業における研究開発投資を一層後押しする。
③では、法人版(特例措置)および個人版事業承継税制(贈与税・相続税共に100%を猶予)について、承継計画の提出期限延長を求めた。経営者の高齢化の進展などを踏まえて中小企業の事業承継を後押しし、生産性向上・成長を支援する。
④については、16億円(同10億円)を計上した「地方公共団体による小規模事業者支援推進事業」により、地域の実情を踏まえた小規模事業者の販路開拓や生産性向上に向けた取り組みを支援していく。