厚生労働省は9月5日、地方最低賃金審議会が答申した2025年度の地域別最低賃金の改定額を公表した。厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考に、各地方最低賃金審議会が審議した結果、改定額の全国加重平均は1121円となり、昨年度の1055円から66円増。過去最大の引き上げ額を更新し、最低賃金は全ての都道府県で1000円の大台を超えた。また、39県が中央最低賃金審議会の示した引き上げ額の目安を上回った。
中央最低賃金審議会が取りまとめた答申では、引き上げ額の目安は都道府県の経済実態に応じ全都道府県をABCの3ランクに分けて提示しており、A・Bランクは63円、Cランクは64円としていた。
目安を上回った39県のうち、最大の引き上げ額となったのは、目安を18円上回った熊本の82円(952円→1034円)。次いで、81円の大分、80円の秋田、79円の岩手、78円の福島、群馬、長崎、77円の山形、愛媛、76円の青森、74円の佐賀が目安額の10円以上となる引き上げ額となった。
最高額1226円(東京)に対する最低額1023円(高知、宮崎、沖縄)の比率は、83・4%(昨年度は81・8%)となり、11年連続で改善した。
答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申し出に関する手続きを経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日以降順次 発効される予定となっている。
日本商工会議所の小林会頭は8月4日、地域別最低賃金額改定の目安が示された際に「今回の結果は、公労使で議論を尽くし、法定3要素のうち賃金・物価の大幅な上昇を反映したものだが、地方・小規模事業者を含む企業の支払い能力を踏まえれば、極めて厳しい結果と言わざるを得ない」とのコメントを発表。企業の経営実態を踏まえた審議・決定の必要性を強く主張していた。
