正しい分別・排出がリサイクル品質を左右する
容器包装リサイクル法(容リ法)を支えるのは、特定事業者だけではありません。消費者・自治体・リサイクラーなど、社会全体の協働が欠かせません。特に消費者による正しい分別・排出は、リサイクルの品質を大きく左右します。
市町村ではそれぞれの設備や収集体制に合わせ、ごみの分別・排出ルールを定めています。収集日・分別区分・出し方などは市町村によって異なるため、地域のルールに従うことが第一歩です。容器包装を出す際は、中身を軽くゆすいだりして、汚れを簡単に落として排出することを心掛けてください。これにより容器に残った中身による臭気やカビの発生、汚れの再付着を防ぎ、リサイクル原料としての品質を高めます。
危険物混入が引き起こすリスク
また、カッターやはさみなどの刃物や、注射器などの危険物の混入も問題です。最近特に注目されているのが、リチウムイオン電池を使用した製品の混入です。破砕工程で電池がショートすると火花が生じ、周囲の可燃物に引火する危険があります。リサイクル工場でも実際に火災が発生し、作業員の安全や設備稼働に重大な影響を与えています。小型家電や電動製品など電池入りのものは、容器包装ではなく、自治体が指定するルートでの排出が必須です。
循環を高める技術と社会の取り組み
排出量が多いプラスチック製容器包装のリサイクルも、より高度なマテリアルリサイクルによる再生プラスチックの用途拡大や、ケミカルリサイクルによる原料化技術の進展により、社会全体で循環を高める取り組みが続いています。
このように、容器包装リサイクル制度は「分ける・出す・再生する」という一連の行動が有機的に結び付いて初めて機能します。消費者が分別ルールを守り、市町村が適正に収集し、事業者が責任を果たす。全てのステークホルダーの連携が、より安全で高品質なリサイクルの実現につながります。
容リ法は、単なる義務ではなく「未来への投資」です。環境への配慮と社会的責任を共有し、次世代により良い循環社会を引き継ぐことこそ、私たち一人一人に求められる役割なのです。(おわり)
公益財団法人日本容器包装リサイクル協会▶https://www.jcpra.or.jp/
