RESAS(地域経済分析システム)で戦略をつくる
自分たちの取り組みやビジネスの成功確率を高めるためには、データに基づいて客観的に外部環境を把握することが不可欠です。
そのため、これまでいくつか統計データを紹介してきましたが、地域活性化戦略を検討するためには、国が提供するRESAS(地域経済分析システム)が最適です。そこには、生産→分配→支出と所得が流れる地域経済循環構造を可視化した「地域経済循環マップ」のみならず、それを強く・太くするヒントが豊富にあるからです。 生産段階については、産業構造マップの「付加価値の構造分析」から、労働生産性が高いため就業者を増やす戦略を検討すべき業種や、就業者が多いので少しでも労働生産性を上げる戦略が有効な業種が分かります(図1)。
分配段階に関しては、人口マップの「通勤通学人口分析」から雇用者所得の流出入要因が分かり、住民が域外へ働きに出かけるベッドタウンか、就業者が集まる商工業都市なのか、自分たちの地域の特徴が明らかになります(図2)。また、産業構造マップの「地域ビジネス環境分析」によって地域における業種別事業所数の推移が分かり、自分たちが育成すべき産業が明らかになります(図3)。
支出段階については、観光マップに多くのデータが搭載されています。「観光地分析」における来訪者の居住地構成から、民間消費の獲得要因となる同一市区町村外からの来訪者の割合が分かります(図4)。また、観光需要取り込みの主役である宿泊者数も簡単に分かります。域際収支については、前回ご説明した「産業別純移輸出額」が参考となります(地域経済循環マップの「生産性分析」にデータがあります)。
まず地域経済循環図を中心に
これまでも産業活性化や観光振興、まちづくりなどの分析を行ってきた実務者は多いと思います。一方で、これらを有機的に連携して検討した事例はあまり多くありません。それは、これまでそういう視点がなかったからです。
あらゆる地域リソースが限られてくる今後は、地域経済循環を強く・太くするという視点で、生産・分配・支出のそれぞれの段階における取り組みを検討し、これらを統合して戦略に昇華していくことが求められます。
一見、難しいように感じられるかもしれませんが、これまで述べたヒントを、地域経済循環図を中心に並べてみるだけで、地域経済循環を強く・太くするストーリーが見えてきます。そのストーリーは、その地域におけるビジネスの指針にもなります。
統計データは、それを見るだけでも楽しいですが、地域経済循環を強く・太くする視点から活用することで、日本経済にプラスサムの効果を生み出す一歩につながります。ぜひお気軽に、RESASを活用してください。
(一般財団法人ローカルファースト財団理事・鵜殿裕)
