女性の体調をデータで可視化 ライフステージに応じた支援を届ける
Flora株式会社 代表取締役 クレシェンコ アンナ
空手家から新たな道へ
私は2020年に京都で、女性の健康を支えるフェムテックスタートアップ「Flora」を設立しました。女性の体調をデータで可視化し、月経・妊活・更年期などライフステージに応じた支援を届けることで、全ての女性が自分らしく輝ける社会をつくりたい─その思いが事業の原点にあります。
ウクライナで育った私は、幼い頃から空手に打ち込み、東京オリンピック出場を夢見て17年に留学生として来日しました。語学学校や京都大学に通いながら練習を続けましたが、代表入りはかないませんでした。夢を失って無気力でしたが、一時帰国した際に母から「そんなに嫌ならもう日本に行かなくていいよ」と言われ、負けず嫌いな私は「日本で何かを成し遂げたい」と心に火がつきました。
次に進む道を模索する中、人生を決定づける出来事が起こりました。いとこが妊娠合併症から産前うつを発症し、出産後に第二子が亡くなってしまったのです。同じような悲劇を繰り返したくないと突き動かされました。女性の健康に関する論文やデータを必死に読み、世界中の女性のライフステージで正しい情報や対処法が行き届いていない現実を知りました。月経、妊活、妊娠、出産、更年期─あらゆる段階で女性は苦しみを抱えていて、どれも本来は適切に支えられるべきものなのに「我慢するもの」とされてきたのです。この構造を変え、苦しみや我慢から全ての女性を解放したい。そんな使命感の下、私は起業を決意しました。
企業の健康経営をサポート
当社の事業の柱は大きく三つあり、一つ目は、個人向けの体調管理アプリ「Moonly」です。生理周期や体調、感情の変化を記録・分析することで、自分のコンディションを客観的に把握できるようにしています。二つ目は、企業の健康経営を支援するサービス「Wellflow」です。社員向けのアプリ提供に加え、データ分析やレポーティングを通じて、組織全体の健康課題を可視化します。そして三つ目が、フェムテック分野への参入を目指す企業などに向けた新規事業開発支援やコンサルティングを行う「Expert」事業です。
特に力を入れているのが、企業の健康経営への支援です。生理痛体験やセミナーを通じて、男性管理職や同僚の理解を促進し、女性特有の健康課題を「個人の問題」で終わらせない環境づくりを進めています。福利厚生にとどまらず、女性社員のパフォーマンス向上や離職防止といった経営課題の解決に直結する仕組みとして、多くの企業に導入いただいています。
起業当初は、女性の健康課題というテーマに対し「ニッチな市場ではないか」と疑問を投げかけられることも多くありましたが、少しずつ「個人の問題ではなく経営課題」という認識が広がってきています。フェムテックという言葉が特別なものでなくなる世の中を夢見て、これからも日本から世界に向け、女性の健康を取り巻く社会の構造を変えていきたいと思います。
会社データ
社名 : Flora株式会社(フローラ)
所在地 : 京都府京都市左京区吉田橘町32番地
創業 : 2020年
事業概要 : 情報通信業(月経妊活アプリ・法人向け健康経営サービスの開発運営、データ活用)
【京都商工会議所】
HPはこちら : https://biz.flora-tech.jp/ja
※月刊石垣2026年2月号に掲載された記事です。
