魅力的な地域産品の開発・販売を手掛けるノリット・ジャポン。同社は秋田県民のソウルフードともいえる、辛口のベニザケを瓶詰めとして商品化。時代のニーズにより減塩商品が増える中、13%という高い塩分濃度とふくよかな味わいが話題を呼び、発売1年超で14万個以上を売り上げるヒットを飛ばしている。
“よそ者”が掘り起こした秋田のソウルフード
誇張は一切ない。ノリット・ジャポンが開発・販売する「しょっぱーい ぼだっこ」は、商品名の通り、相当に“しょっぱい”。
「ぼだっこ」とは秋田の方言で、塩分濃度10%以上の塩味が強いベニザケのことだ。その身の鮮やかな色合いがボタンの花を思わせることから、そう呼ばれるようになったという説が有力だ。もちろん、ベニザケにも甘口から辛口までバリエーションはあるが、秋田県民は焼くと塩が吹き出るような「辛口」を好み、朝ご飯やお弁当として日常的に食べるという。まさにソウルフードといえるが、不思議なことに今まで加工品として商品化されたことがなかった。そこに着目したのが、同社食品企画部部長で神奈川県出身の毛利雄大さんだ。
「秋田に移住して今年で5年になりますが、初めてぼだっこを食べた時は塩辛さに衝撃を受けました。ただ、かむほどにサケ本来の深い味わいが口の中に広がり、これを商品に再現できないかと考えました」と開発のきっかけを説明する。
同社は、日本の地方にある“眠れる価値”を発掘し、商品化することで新たな価値の創造を目指す地域産品の開発と販売を手掛ける会社だ。毛利さんいわく、秋田県には多種多様な農産物や海産物があるが、そのほとんどは1次産品として流通・消費されている。ぼだっこも同じで、県民にとってはベニザケの切り身を買って家で焼いて食べるのが当たり前なので、加工して売るという発想はなかったのだろう。まさに毛利さんが“県外の人”だったから、誕生した商品なのだ。
2年を要した商品開発 食文化の再現度にこだわる
加熱調理した辛口のベニザケを瓶詰めにした同商品は一見シンプルだが、開発には約2年の時間を要したという。加工会社が県内になかったことがネックとなった。
「サケを瓶詰めにするには、容器を真空殺菌する必要があります。また、サケの骨がきちんと除去されているかを確かめるために、エックス線を通さなければなりません。それができる加工工場を探すのにかなり時間がかかりました」
方々を当たって山形県内の加工食品会社にたどり着き、試作に乗り出したものの食材選びも難航した。ベニザケは、産地によって特徴が異なる上に、焼き加減によって味わいや食感も変化する。そこで約20種類のベニザケを取り寄せ、味付けや焼き加減の比較検討を延々と繰り返した。そうして塩辛さのインパクトと味わいが両立する13%という塩分濃度を導き出した。
「塩辛ければ塩辛いほど話題になるだろうと思いましたが、それだと『しょっぱい! 面白い!』で終わってしまい、リピートにはつながりません。何より、日常的に食べている県民の方に『これはぼだっこじゃない』と言われないように、味付けはもちろん、形状も“あらほぐし”にこだわり、あえて皮も残して再現度を高めました」
試行錯誤を経てようやく完成にこぎ着け、“激辛口”と名付けて、2024年12月にECサイトのほか、秋田駅ビルや秋田空港、道の駅などで販売を開始した。
