環境にも人にも優しい―。そんなキャッチフレーズの洗剤は数あれど、まさに天然成分だけでつくられているのが、エシカルバンブーが開発した「バンブークリア」だ。無色透明で泡も立たないのに抜群の洗浄力を発揮するという。肌の弱い人や子育て世代の共感を集めて静かにファンを増やし、今や安定した高収益を上げている。
「竹と水」だけで汚れを落とす 常識破りな洗剤
「これ、飲んでも大丈夫ですよ」
山口県防府市に本社があるエシカルバンブー社長兼CEOの田澤恵津子さんがそう話すのは、同社が開発・販売する洗剤「バンブークリア」のことだ。同商品の原材料は、竹炭と竹炭灰と湧き水のみ。伐採した竹から3日間かけて丁寧に竹炭をつくり、それらを湧き水に入れる。当初、水は黒く濁っているが、竹に含まれる成分が徐々に溶けてミネラルが抽出され、2カ月ほどで透明の液体になる。これがバンブークリアの原液だ。ただの水のような見た目で攪拌(かくはん)しても泡立たない。
汚れが落ちる秘密は、竹に含まれるケイ素やカリウムだ。これらが水中で繊維に染み込んだ汗や皮脂汚れなどに反応することにより、アルカリ成分が脂肪酸と結合してせっけんに変化する。そのせっけんで汚れを包み込み、分解する仕組みだという。洗濯前のつけ置きをすることで繊維の奥まで成分が浸透し、ゆっくりやさしく汚れを落とす。
「一般的な合成洗剤には、界面活性剤や香料、着色料などの化学物質が含まれていますが、バンブークリアは竹と水だけでつくられているので、飲んでもまったく問題はありません。特にカリウムは野菜や果物に多く含まれている成分で、飲むとかすかに甘みを感じるんですよ」
天然成分100%で安心・安全な無添加洗剤のため、肌が敏感な人や小さな子どものいる人などから大きな支持を得て、今や同社の看板商品に成長した。
竹害との出会いが導いた新たな商品開発への道
田澤さんが竹と出会ったのは、東京の大手広告代理店に勤めていた時のことだ。担当していたクライアント企業から竹害に困っていると相談され、現地を視察して放置竹林が及ぼす深刻な問題を目の当たりにした。
「昔は竹から籠や器、家具をつくるなど生活のさまざまなところで重宝されていました。それがプラスチックに取って代わられると、竹林は人の手が入らなくなって放置され、今や邪魔者扱いです。でも、竹には無限の可能性があり、もっと資源として活用できないか、と思ったんです」
その後、独立してマーケティングやブランディングを行う会社を設立、本格的に国内の竹を活用した商品開発に乗り出した。竹を繊維化して3割以上含有した「バンブータオル」を開発する。竹のイメージからは想像もつかないほどふんわり柔らかく、吸水力に富み、防臭効果もあることから、店頭に並ぶとすぐに完売する人気商品となった。
「あるタオルユーザーの方から、『赤ちゃんがタオルを気に入って、よくしゃぶっている。口に入っても安全な洗剤はないか』と問い合わせがあったんです。それをきっかけに安全な洗剤を探し始めたら、知り合いから山口県に竹のミネラルを研究しているおじいさんがいて、どうもそれが洗剤になるらしいという話を聞いたんです」
早速現地に会いに行き、風呂おけいっぱいにつくられた竹洗剤の消臭・洗浄効果や安全性に可能性を見いだす。「泡が立たない洗剤は売れない」と諦めていた開発者に対し、「売り方と見せ方を変えれば必ず売れる」と説得し、事業ごと買い取ることを申し出た。事業承継後、抽出技術を磨き、pH調整のノウハウを確立するなど品質を向上させて製品化に成功。15年に「バンブークリア」の販売を開始した。
じっくり育てたヒット商品 その先に描く竹の未来
同商品に関して、田澤さんはじっくり腰を据えた販売戦略を取った。まずは商品を理解してもらうため、産科医院やコインランドリーを中心に営業を掛けるなどBtoBに力を入れた。収益基盤を固めた後にBtoCで対話を重視しながらファンを増やそうと考え、価値を理解してくれる店舗に限定して商品を卸すなどして販売網を構築していった。地道に販路を拡大していく中、20年に全国ネットの情報番組に取り上げられると、飛躍的に認知度が上がって売れ行きが急増する。その勢いは衰えることなく、今や月商2000万円に上るヒット商品となった。
「おかげさまで、タオルも洗剤も多くのファンに支えられて好調です。ただ、私たちの原点は『里山の保全再生』です。まずは竹を材料とした高品質かつ魅力的な商品をつくり、それが売れた結果として環境保全にもつながる、という流れをつくっていきたい」
その言葉通り、同社は商品開発(ものづくり)だけでなく、竹の活用を通じた地方創生(ことづくり)も手掛けている。20年に山口県宇部市の廃校を活用した竹の総合施設「竹ラボ」を設立したのもその一環だ。竹に関するさまざまな情報発信や利活用方法の提案、世界中から集めた竹製品や竹アート作品の展示などを行っている。
「竹ラボでは竹林整備を目的としたイベントやワークショップの開催、地域資源を生かす次世代への教育にも力を入れています。近い将来、竹のテーマパークの設立も視野に、竹の可能性をもっともっと追求していきたい」と熱く語る田澤さん。「竹で未来をデザインする」というビジョンに向かって日々まい進している。
会社データ
社 名 : エシカルバンブー株式会社
所在地 : 山口県防府市真尾12-1
電 話 : 0835-36-1522
HP : https://ethicalbamboo.com
代表者 : 田澤恵津子 代表取締役社長兼CEO
従業員 : 45人
【防府商工会議所】
※月刊石垣2026年2月号に掲載された記事です。
