財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会はこのほど、新たな財政健全化計画に関する建議を麻生太郎財務大臣に提出した。建議書では、プライマリーバランス(PB)黒字を今度こそ確実かつ安定的に実現する必要があるとした。また、達成時期については、遅くとも2025年度までにPB黒字を安定的に確保しておく必要があると意見した。
建議書では、早期の財政健全化は、国民の将来不安を和らげ、デフレ脱却・持続的な経済成長を実現するために不可欠の前提と強調している。新たな財政健全化計画については、①2021年度までの3年間において、②大くくりの歳出分野ごとに歳出の水準に関する規律を設けるとともに、③各分野の個別の改革について具体的な内容・工程を定めた上で、④3年間の取り組みの進捗(しんちょく)状況を検証し、必要に応じて歳出・歳入両面からの追加措置を検討する計画とすべきとしている。
歳出の水準に関する規律については、少なくとも、経済・財政再生計画の目安の考え方を踏まえ、今後も歳出改革をしっかり進めることで、目標を確実に達成できるように設定することを求めている。また、新たな歳出増加要因に対しては、他の歳出の抑制など、安定財源を確保して対応すべきと指摘している。
また、改革に取り組むべき事項を、①社会保障、②地方財政、③文教・科学技術、④社会資本整備、⑤農林水産、⑥防衛──の6分野に分けて提言している。歳出の多くを占める社会保障分野については、給付と負担のバランスを考慮し、年齢ではなく、能力に応じた負担を要請。世代間の公平の観点などから、後期高齢者の窓口負担の2割への引き上げ、現役並み所得者の判定方法の見直し、介護保険の利用者負担の引き上げなどを提案している。
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