日本商工会議所は3月20日、「知的財産政策に関する意見」を取りまとめ、政府など関係各方面に提出した。25日には、日商の荒井寿光知的財産専門委員会委員長(東京・常任顧問)が内閣府知的財産戦略推進事務局の住田孝之局長に意見書を手交した。同要望書では、中小企業に一段と焦点を当てた新たな制度設計の検討を行うよう求めており、政府が策定する「知的財産推進計画2019」への反映を目指す。
同要望書では、「わが国が直面する課題は中小企業に最も顕著に現れ、その課題解決こそがわが国全体の技術力や競争力の底上げにつながるため、これまでの制度設計を見直す必要がある」と指摘。中小企業が今後も知財を活用し、活発なイノベーションにより優れた技術を生み出せるように、知財の価値を適切に評価するための仕組みの再構築を要望している。また、地方創生を加速させるためには、地域中小企業の競争力を強化することが最も効果的であることから、中小企業がコンテンツを含め、知財を経営に活用し、自らの競争力を高めていく意識を醸成することなどを求めている。
主な要望事項としては、悪質な侵害行為の抑止・損害賠償額の適切な水準への引き上げに向け、損害賠償額が「通常の特許実施料相当額」を上回るように法定することや、諸外国を参考に、侵害者の手元に利益が残らないようにする制度などについて検討し対応することを要請している。 また、証拠収集手続きのさらなる強化に向け、中小企業が侵害の証拠を十分に収集できるようにするとともに、見込み違いの提訴を防ぐために、訴訟提起前にも査証を導入することや、侵害の立証に必要な証拠を侵害者に提出させるために、査証に一定程度の強制力を持たせることなどを提案している。
中小企業による出願の一層の加速化に向けては、中小企業の特許料金の一律半減制度について、分かりやすく周知する説明会を継続的に開催することや、審査請求、早期審査などの申請手続きの簡素化の促進を要望している。また、経営デザインシートの活用など、さまざまな評価手法を組み合わせた知財金融の推進も求めている。
最新号を紙面で読める!