政府は1月30日、外国人技能実習制度の見直しについて、「法務省・厚生労働省合同有識者懇談会」における検討結果を報告書として取りまとめた。報告書は、「日本再興戦略改訂2014」(平成26年6月24日閣議決定)において、「新たな法律に基づく制度管理運用機関の設置など、管理監督の在り方を年内を目途に抜本的に見直し、2015年度中の新制度への移行を目指す」とともに、「2015年度中の施行に向けて、所要の制度的措置を講ずる」ことなどが盛り込まれたことから、技能実習制度の管理監督体制の抜本的強化策、実習期間の延長、受入れ枠拡大などの制度の拡充策などについて検討していた。技能実習制度見直し内容のポイントは以下の通り。
技能などの修得・移転の確保
・実習の各段階での技能評価の推進(技能実習2号、3号修了時の技能評価試験の受検義務化、技能実習計画の認定制)
・実習生の帰国後フォローアップ・技能発揮の推進(送り出し国・機関の協力を得て実施。監理団体はフォローアップ結果を活用して技能移転の確保)
・修得技能などの見える化(グローバル・ジョブ・カード(仮称)の雛形作成)、技能評価システムの海外移転の推進
監理団体および実習実施機関の適正化
・監理団体、実習実施機関の適正化・ガバナンス強化(監理団体の許可制、実習実施機関の届出制の導入、外部役員または外部監査の導入の要件化)
・新たな法律に基づく制度管理運用機関の創設(受入れ機関への立入調査や報告徴収など、指導監督に関する業務を実施)
・不適正な監理団体などに対する罰則や名称の公表制度の整備
・関係機関による取り組み・連携の強化(国、都道府県などの関係行政機関からなる地域技能実習協議会の設置など)
人権侵害などの防止および対策
・制度管理運用機関における通報・申告窓口の整備(申告を行った実習生に対する不利益な取り扱いの禁止、実習生に一時退避先の提供)
・実習先変更支援の充実、技能実習3号移行の際の実習先の選択可能化
・実習生の賃金などの処遇の適正化(日本人と同等額の要件を満たしていることにつき実習実施機関に説明責任)、関係法令などに関する啓発活動の推進
送り出し機関の適正化
・送り出し国との政府(当局)間取り決めの作成(送り出し機関の適正化のため、送り出し国による送り出し機関の認定、調査や指導監督など)
・送り出し国の産業発展などに即した政策ニーズや技能などの移転を必要としている分野・職種の把握
受け入れ人数枠の見直し
・優良な監理団体および実習実施機関における受け入れ人数枠の拡大(現行の2倍程度)
・常勤職員数に応じた受入人数枠の均整化(「50人以下は3人まで」↓「30人以下は3人、31~40人は4人、41~50人は5人まで」)
実習期間の延長または再実習
・監理団体および実習実施機関による送り出し機関・実習生間の契約確認の義務化
・優良な監理団体、実習実施機関および実習生の要件設定(相談体制、技能評価試験の合格率、指導体制など)
・優良な監理団体および実習実施機関、優良な実習生の場合、一旦帰国後、延長・再実習の実現
・日本語能力試験など合格の場合の講習期間(日本語講習部分)の短縮化、地域社会との共生のための取り組みの推進
対象業種の拡大など
・多能工化ニーズへの対応(複数職種の実習)
・技能評価試験の適正化・柔軟化(地域ごとの産業特性を踏まえた職種追加、企業単独型における社内検定の活用)
報告書の詳細については、法務省のサイト http://www.moj.go.jp/を参照。
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