政府は3日、「第26回未来投資会議」を首相官邸で開催した。会議では、地方銀行・乗り合いバスの経営統合・共同運営について議論した。会議には日本商工会議所の三村明夫会頭と、日商からの推薦で前橋商工会議所(群馬県)の曽我孝之会頭が出席。三村会頭は、「地銀も乗り合いバスも、共に地方創生にとって不可欠のインフラ」と指摘し、経営基盤強化のため、利用者や住民の利便性を最大化するような競争政策の見直しを求めた。
三村会頭は、地銀が健全な経営基盤を有するための方策について、「地銀の足元の厳しい経営環境の下では、最も有力な手段の一つが経営統合という選択肢」と強調。地銀の企業結合審査に当たっては、健全な地銀の育成と地域の円滑な金融仲介機能の維持を重視して、マーケットシェアが高くなっても経営統合を認める方向で審査基準を見直すことと、審査期間を短縮することを求めた。
曽我会頭は、バスに関する地元の取り組みについて発言した。前橋市では、バスの利便性向上に向けた官民連携の協議会を設置したが、競争政策上、協議会で複数のバス事業者を交えた協議を行うことが許されないため、行政がバス事業者と個別に路線やダイヤの調整を行わざるを得ず、非常に手間と時間がかかっている点を指摘。また、バス事業者間で運賃などに関して調整することも禁じられており、「一向に話が進まないのが現実」と述べた。
こうした事態を打開するため、曽我会頭は、協議会で全てのバス事業者も含め、地域の関係者全体で協議を進められるようにすること、また、バス会社の経営自体は各社の独立を保ちつつ、一定の路線収入をプールするなど、共同して運営に当たれるような工夫をすることを要望した。
安倍晋三首相は、乗り合いバスについては、地域において、関係者による協議会を設置することを前提にした新たなスキームを実現する考えを示した。地銀の経営統合については、経営統合により生じる余力に応じて、地方におけるサービス維持への取り組みを行うことを前提に、シェアが高くなっても特例的に経営統合が認められるよう検討を進めていく意向を表明した。
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