私は仕事柄、さまざまなタイプの会社のトップを見てきました。イソップ物語の中の「ウサギとカメ」という話をご存じの方は多いと思いますが、人それぞれ多少の能力差はあっても、昼寝をしても勝てるほどの違いはないと確信を持つようになりました。どんな人でも弛(たゆ)まぬ努力をしなければ、幸運に恵まれることはありません。今、波に乗っている人は、何年か前に「こんな時代が来るに違いない」と見越してコツコツと準備をしてきた人なのです。
私の時流予測を聞いている方は分かると思いますが、「2015年ごろから2020年の間に世界の経済覇権がアメリカから東洋に移る」と、1993年から言い続けてきました。「経済覇権を握る」ということは、そこから世界ブランドが生まれる可能性を握ることでもあり、あらゆる分野にビッグチャンスが訪れます。
世界ブランドはヨーロッパ発だった時代を経て、第二次世界大戦が終結した1945年からアメリカが覇権を握ると、ティファニーやラルフローレンなどのブランドや、ディズニーなどのキャラクターが台頭してきました。しかし、これからは次の覇権国のブランドが生まれて来るわけです。
今のところ次の覇権国は中国になりそうですが、文化圏という考え方でくくると、日本の文化が世界のスタンダードになり、日本のブランドが世界ブランドになるチャンスが到来するというわけです。
私は「日本の文化を世界のスタンダードにする」という夢を昔から抱いていました。65歳で船井総研を退社し、現在の会社「風𡈽」をつくったのも、その夢のため、と言っても過言ではありません。というのも、タイミングが来るときまでに準備をしておいて、ブランドや商品をある程度のレベルに育てておかないと、チャンスを逸してしまうからです。
「幸運の女神には前髪しかない」という言葉がありますが、私はこの考え方に同感です。準備をしていた者は訪れたチャンスにすぐ手を伸ばせますが、準備を怠っていた者はいざというときに手を出せないのです。「風𡈽」の場合には、昨年11月に所属アーティストの作品が大英博物館に所蔵展示されるなど、徐々に準備が整いつつあります。これは前もって準備をして努力を積み上げることで訪れたラッキーなのです。
カメは努力をし続けたので、ウサギに勝ちました。もしウサギが途中で昼寝をせずに弛まぬ努力をしていたらどうだったのでしょう。ウサギでもカメでも良い、弛まぬ努力を忘れなければ、必ず報われます。
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社名:株式会社 風土
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担当:髙橋
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