日本商工会議所は6月28日、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は6月13~19日。全国339商工会議所の会員企業1975社から回答を得た。
6月の全産業合計の業況DIは、マイナス18・3と、5月からマイナス1・2ポイントの悪化。インバウンド需要の堅調な動きに加え、都市部の民間工事を中心とする建設業が底堅く推移する一方、深刻な人手不足による受注機会の損失や人件費・外注費の増大、根強い消費者の節約志向、原材料費の高止まりによる収益圧迫が広く業況の押し下げ要因となった。また、米中貿易摩擦の影響に伴う半導体や産業用機械、自動車関連の不振や、世界経済の先行き不透明感の広がりを指摘する声は依然として多く聞かれ、中小企業の景況感には足元で鈍さが見られる。
ヒアリングした企業からは、「原材料の仕入れ価格や人件費上昇の負担は大きく、採算の確保に難航」(建築工事)、「仕入れ価格や人件費、運送費などあらゆるコストが上昇しているが、販売価格への転嫁は難しく、収益は悪化」(飲食料品卸売)、「現場を管理する技術者の不足は受注件数に直結する問題であり、最大の懸念材料」(一般工事)、「ドライバー不足は依然として深刻であり、受けられない依頼も多い」(運送)といった人件費上昇や人手不足の影響を訴える声が多く寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス19・5(6月比マイナス1・2ポイント)と悪化を見込んでいる。個人消費の拡大やインバウンドを含む夏の観光需要拡大への期待感がうかがえる一方、人手不足の影響の深刻化や、原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、貿易摩擦の激化、世界経済の動向、消費税引き上げの影響など不透明感が増す中、中小企業においては、先行きへの慎重な姿勢が続いている。
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