中国に進出している日系企業で組織する日本人商工会議所「中国日本商会」はこのほど、日系企業が直面している課題の分析や解決のための建議を取りまとめた「中国経済と日本企業2015白書」を公表した。白書は10年から発刊しており、今回で6回目となる。
建議の主なテーマは「近代的な市場体系の完備」「政府の機能転換」「開放型経済新体制の構築」の3点。秩序ある競争が行われる市場体系の構築のため、公平競争の障害となっている各種制度の撤廃・見直し、知的財産権制度の一層の改革などを強く要望している。
政府の機能転換としては、法治政府・サービス型政府の建設のため、行政手続の簡素化・迅速化、許認可・認証の大幅な廃止などを提言。また、経済のグローバル化に適応するため、製造・サービス業分野での外資参入制限の一層の開放、グローバルスタンダードのさらなる採用などを求めている。
白書の取りまとめに中心的な役割を担ったジェトロが中国に進出している日系企業に対して昨年10月から11月に実施したアンケート調査では、今後1~2年の事業展開の方向性について、「拡大」と回答した企業の割合は46・5%(前年比7・7ポイント減少)で、「現状維持」と回答した企業の割合が46・0%(6・5ポイント拡大)。中国における事業拡大の意向は、11年と比べると、「拡大」が66・8%から46・5%に大きく減少した。輸出比率の高い業種で「拡大」の回答比率が低く、内販比率の高い業種で「拡大」の回答比率が高い傾向にある。
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