日本商工会議所はこのほど、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、2019年度の所定内賃金の動向についてヒアリングした結果を発表した。2019年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)は、前回(18年6月)調査比1・7ポイント増の56・7%となった。「賃金の引き上げは行わない」は同3・8ポイント減の22・5%、「現時点では未定」は同2・1ポイント増の20・8%だった。
賃上げを実施した企業(予定含む)の内訳は、「業績が改善しているため賃上げを実施(前向きな賃上げ)」が前回調査比1・9ポイント減の20・4%、「業績の改善が見られないが賃上げを実施(防衛的な賃上げ)」が同3・6ポイント増の36・3%だった。
前向きな賃上げ・防衛的な賃上げを実施した企業を業種別に見ると、前回調査と比べ、前向きな賃上げは全5業種中、製造業、卸売業、小売業の3業種で減少。一方、防衛的な賃上げは5業種全てで増加した。全体の約57%の企業が賃上げを実施すると回答した一方、その約64%を防衛的な賃上げが占めており、業績が厳しい中で賃上げを行っている中小企業の実態がうかがえる。
賃金を引き上げる主な理由は、「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が前回調査比0・4ポイント増の91・7%で前回調査に引き続き最も多かった。また、「最低賃金が引き上げられたため」が同4・8ポイント増の18・1%、「社会保険料の増加により手取り額が減少しているため」が同2・8ポイント増の9・9%と、前回調査と比べ、それぞれ順位を一つ上げた。
賃金の引き上げを見送る・未定の主な理由は、「今後の経営環境・経済状況が不透明なため」が、前回調査比14・5ポイント増の74・2%で前回調査と変わらず最多だった。
防衛的な賃上げの色合いが強まっていることに加え、賃金を引き上げる理由では、最低賃金の引き上げや社会保険料の増加を挙げる企業が増えている。また、引き上げを見送る・未定とする理由では、米中貿易摩擦や消費税引き上げなどの影響により、先行きの不透明感が増していることが読み取れる結果となった。
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