日本商工会議所は1日、「雇用調整助成金の円滑な申請・支給に関する緊急要望~中小企業の事業継続と雇用の維持・安定に向けて~」を取りまとめ、政府に提出した。
新型コロナウイルス感染拡大による危機的な経済情勢において、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する「雇用調整助成金」は、雇用の維持・安定や感染拡大収束後の経済の力強い回復に向け、非常に大きな役割を担っている。その一方、「窓口の混雑により申請に至らない」「申請要件が複雑で分かりづらい」などの声が日商に多く寄せられている。
雇用の7割を占め、地域経済を支える礎である中小企業、特に雇用調整助成金を初めて利用する中小企業が円滑に申請、かつ迅速に支給されることが極めて重要であるため、要望をまとめたもの。①申請段階、審査段階での「目詰まり」の解消、②申請要件のさらなる緩和・撤廃、③助成金の前払いの実施、④対象労働者1人1日当たりの上限額の引き上げ、⑤申請に不慣れな中小企業に対する相談体制の強化、分かりやすい周知の5本を柱に掲げている。
目詰まりの解消としては、申請、審査を担うマンパワーの強化や、申請手続きのオンライン化、緊急対応期間(4月1日~6月30日)の延長、申請要件では生産指標要件の撤廃(売上高などの生産指標が前年同期に比べて5%以上低下)、雇用調整(休業)の実施に関する労使協定要件の撤廃および関連する添付書類の削減を求めている。また、助成金の前払い(見込み払い)・事後精算の実施または支給までのつなぎ資金を即日で融資できる公的支援制度の創設や、引き上げ分の財源を国庫で負担した上での対象労働者1人1日当たりの上限額8330円の引き上げを要望。さらに、都道府県労働局やハローワークの窓口、コールセンターにおけるきめ細かく丁寧な対応や、商工会議所をはじめとする相談窓口への社会保険労務士など専門家の派遣、数次にわたる特例措置に関する分かりやすい周知などが必要としている。
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