日本商工会議所は7月17日、「夏季政策懇談会」を都内で開催し、三村明夫会頭はじめ、各地商工会議所の会頭、関係委員会の委員長ら約210人が出席した。今年の懇談会の全体テーマは、「令和の時代の成長と進化~活力あふれる中小企業と元気な地域の実現を目指して~」。人手不足克服、生産性向上を目指す中小企業のイノベーション促進、また、域外需要の取り込みなどについて議論を行った。冒頭にあいさつした三村会頭は、「人口減少など大きな環境変化の中で、中小企業が直面する人手不足や生産性向上といった課題を克服するとともに、わが国経済を持続的な成長軌道に乗せるため、地方創生を実現させていくことが不可欠」と指摘。各地商工会議所の積極的な取り組みに期待を寄せた。(関連記事2面に)
夏季政策懇談会は、直面する重要政策課題に関する商工会議所の基本的な考え方やスタンス、商工会議所の果たすべき役割・活動について意見交換を行うことにより、商工会議所の活性化につなげていくことを目的に毎年開催している。会合は、2部構成となっており、第1部は「中小企業の活力強化、地方と東京が連携した地方創生の実現」をテーマに実施。第2部は分科会方式で三つの分科会に分かれ、「地域の持続的な成長に必要な民間の役割と商工会議所組織・活動の在り方」について意見交換を行った。なお、同懇談会は、中小企業庁の「中小企業魅力発信月間」協力事業として実施した。
第1部では人手不足への対応について、「外国人雇用サポートセンターを商工会議所内に設置。実務を担うハローワークや行政書士会と連携するとともに、外国人による日本語習得や地域社会での共生のためのサポートを行っている」「小規模企業を中心に、後継者不在による廃業が増加。商工会議所として後継者を育成することにより、事業継続・承継・発展させる視野を持つべき」「人材確保に向け、合同会社説明会を開催しているが、成約数に課題はあるものの離職率が極めて低い」といった意見が出された。
中小企業の生産性向上に対しては、「軽減税率対策として、クラウド会計、モバイルPOSレジ、キャッシュレスの推進が重要。経理事務の効率化とともに、経営の見える化を図ることが可能。また、キャッシュレス決済は、インバウンドなどの新たな獲得が期待できる」「農業関連ビジネスは、今まで生産性向上が遅れていた分、身の丈IoTにしっかり取り組むことで、目に見えて利益が伸びている企業が増えている」といった指摘があった。
域外需要の取り込みについては、「日本は製造業中心に発展してきたが、昨今、観光も柱の一つになってきているし、ならざるを得ない。外国の需要を日本に呼び込むことは重要。また、外国人の観光ルートは偏在しているので、これを分散化していくことも必要」「近年、工場見学と販売をセットにしたオープンファクトリーが増加。こうした工場が大消費地(東京やパリなどの海外)に直接出店する例が出てきている。地域の需要だけでなく、域外の需要を直接取りに行っている動きだ」といった声が寄せられた。
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