日本商工会議所は7月18日、「地域・中小企業におけるIT・IoTなどの活用推進に関する意見」を取りまとめ、関係各方面へ提出した。中小企業の収益力は向上しているものの、その幅は大企業に比べて小さく、両者の差は拡大しており、人手不足も深刻化している。同意見書では、こうした課題に対応していくためには、中小企業の生産性向上が不可欠と指摘。その鍵はIT活用の推進と強調している。(意見書概要3面に)
中小製造業では自社開発した「身の丈IoT」を外販するところが現れ、中小サービス業ではキャッシュレス推進施策を機にクラウドサービスの利用が広まりつつあるが、安価で便利なITサービスの登場にもかかわらず、中小企業のIT活用が進んでいない。そこで同意見書では、地域におけるIT人材の再教育などを通したクラウド導入支援人材の育成や、クラウド活用事例の横展開を提言するとともに、ユーザ目線で「身の丈IoT」の開発・普及を図る企業への補助などを求めている。また、大企業による中小企業のIT活用支援も提案。大企業の技術・ノウハウ・人材を中小企業に提供・共有する動きへの後押しを要望している。
一方、政府は「未来投資戦略2018」で、2020年までの3年間に中小企業・小規模事業者約100万社のITツール導入を促進する目標を打ち出し、累計700億円に上る「IT導入補助金」を措置するなど、中小企業のIT化支援策を充実させてきた。しかし、中小企業のIT活用が大きく広がる「発火点」には達していないことから、同意見書では、施策の浸透には相応の時間を要するため、政府によるIT活用推進に向けた息の長い支援が重要としている。
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