下松商工会議所(山口県)に事務局を置く実行委員会は7月14日、英国向けの高速鉄道車両が昼間の時間帯に道路上を輸送される様子を見学できる「道路を走る高速鉄道車両見学プロジェクト」を開催した。当日は、時折り小雨が降る中にもかかわらず、鉄道ファンら約3万5千人が集結。令和元年の今年、市制施行80周年記念事業の一つとして、「鉄道産業のまち」「ものづくりのまち」をアピールするもので、官民一体となって取り組む一大イベントとなった。
鉄道産業やものづくりのまちである下松市をPRすることを目的に企画された「道路を走る高速鉄道車両見学プロジェクト」。鉄道発祥の地、英国へと旅立つ前の様子をより多くの人たちに体感してもらうため、同所と同市などで構成される実行委員会が、日立製作所の鉄道製造拠点である笠戸事業所の全面協力を得て開催日を迎えた。
文字通り、官民一体となったイベントで、当日は、英国向け高速鉄道車両「CLASS800シリーズ」が専用トレーラーに載せられて、笠戸事業所から下松第2埠頭(ふとう)までの約2キロメートルの道のりを陸送された。沿道には、家族連れなど子どもたちを含む多くの市民、そして全国から訪れた鉄道ファンなど、3万5千人以上が集まり、車両が前を通ると一斉に歓声が上がるとともにシャッター音が鳴り響く盛り上がりを見せた。
実行委員長の同所弘中善昭副会頭は「将来を担う子どもたちに夢を与え、鉄道産業のまちである下松のアピールをするという二つの目的のために官民一体となって準備してきました。クラウドファンディングでもたくさんの支援を賜り、応援メッセージにも励まされました」と、喜びと感謝を口にした。クラウドファンディングが奏功の鍵となり、目標額500万円のところ、総支援者数157人、支援額600万円を超えた。通常は交通量の減る深夜に行われる陸送を日中に行うということは相応の費用が発生するため、この支援金を活用。当日の安全確保のための警備や設備投資、情報発信などには細心の注意を払ったという。産官民協働事業による今回の成功は、今後のイベント継続を熱望する実施関係者の自信にもつながった。
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