初めてでも入りやすく、女性が安心して通院できるように
鍼灸 こもれび堂 代表 山根 早織
治療の効果を実感して 鍼灸師になることを決意
幼少期より漠然と手に職をつけたいと思っていました。進路選択で悩んでいた高校2年生のとき、鍼灸を初めて受診。どのようなことをされるのか、どのような人に施術されるのかと随分と不安でしたが、その際、偶然にも担当してくれたのが女性鍼灸師で安心感を覚えました。
受診した鍼灸治療で、それまで受診した他の治療法よりも患部が楽になり、そのときから鍼灸の魅力にとりつかれました。そして、鍼灸師になることを決め専門の大学に進み、資格を取得。その後は複数の鍼灸院で一従業員として施術に当たって経験を積みました。そして、自分の進路を決定する契機となった「女性が安心して、初めてでも入りやすい鍼灸院」を自分でつくりたいという思いが強くなり、創業することにしました。
しかし、最初につくった創業計画書では融資を受けることができませんでした。そこで、四日市商工会議所に窓口が設置されている「四日市志創業応援隊」に相談。担当の方からアドバイスをいただき、地域の人口統計表なども参考にしながら、創業計画を見直しました。環境分析、来院数や客単価を自分の経験や競合他社、各種データを基により精緻に数値化していったのです。その結果、創業融資を受けることができました。
自分の思いを実現するための創業なので希望する物件が見つかるまで妥協しませんでした。物件が見つかるまでの間は自身の弱みを克服するためにアロマセラピストの資格を取得するなど、時間を有効に使いました。そのため、創業までの準備をしっかり整えることができましたし、希望通りの物件も見つかりました。創業してからは、この間に得た知識や経験が役に立っています。
不妊治療・逆子治療に対応し 少子化対策に貢献
鍼灸は不妊症に有効な場合があります。高齢出産の人数と不妊治療の患者数にも相関があるのです。厚生労働省の調査によると、35歳以上で出産している割合は平成12年の11・9%から27・6%(26年)まで高まっています。また、日本産婦人科学会の調査によると不妊治療を受けている患者数は増加しています。今後も、女性の晩婚化が進み、高齢出産の人数も増加すると推測され、不妊治療の市場は拡大が見込まれます。
また、お灸による逆子治療は全身調整治療の一項目として扱われることが多いのですが、お灸で逆子が改善できることについて、対象者にいまだ周知しきれていないのが現状です。いかにそのような方々にお灸の効果を周知できるかが今後の課題だと考えています。
不妊に悩む方が一人でも多く赤ちゃんを授かれるようお手伝いをさせていただきたいです。そして出産後は、そのお子さまへの成長促進や夜泣き、夜尿症などに効果的な小児はりを施術させていただくことができればうれしく思います。今後とも鍼灸が身近な存在であり続けるように取り組んでいきたいです。
会社データ
社名:鍼灸 こもれび堂
所在地:三重県四日市市
創業:平成24年
事業概要:鍼灸治療院(鍼灸治療、アロマセラピートリートメント)
※月刊石垣2015年10月号に掲載された記事です。
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