日本商工会議所は5月31日、5月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は5月16~22日。全国337商工会議所の会員企業1967社から回答を得た。
5月の全産業合計の業況DIは、マイナス17・1と、4月からマイナス0・4ポイント悪化した。10連休となったゴールデンウイークの好調なインバウンドを含む観光需要が全体をけん引したほか、堅調な改元商戦の恩恵により、宿泊・飲食業や観光関連業を中心とするサービス業、小売業の業況感が改善した。他方、半導体や産業用機械、自動車関連の不振が続いているほか、10連休により営業日が減少した建設業の売り上げが悪化した。深刻な人手不足の影響拡大や根強い消費者の節約志向、原材料費の高止まりが依然として中小企業の足かせとなっており、業況改善に向けた動きは力強さを欠いた。
ヒアリングした企業からは、「衣料品の不振は続いているものの、インバウンドの来店が多く、売り上げは増加。化粧品や高額品の売れ行きが良く、10連休も好材料となった」(百貨店)、「初の10連休となった今年のゴールデンウイークの対応に不安があったが、来店客数は大幅に増加し、嬉しい悲鳴となった」(飲食業)など、10連休の恩恵についての意見が寄せられた。一方で、「案件はあるものの、職人などの人手不足は深刻であり、受注しきれない」(内装工事)、「新製品を受注したいが、残業時間の上限規制や人手不足の影響が大きく踏み出せない」(金属製品製造)といった人手不足の影響を訴える声も多く寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス19・6(5月比マイナス2・5ポイント)と悪化を見込んでいる。個人消費の拡大やインバウンドを含む観光需要拡大への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、原油価格を含む原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、貿易摩擦の激化、世界経済の動向、消費増税の影響など不透明感が増す中、中小企業においては、先行きへの慎重な見方が続いている。
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