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コラム石垣 2019年5月11日号 中村恒夫

新たな元号がスタートした。4月に「平成最後の新入社員」と歓迎されて入社した若者たちも、1カ月を経て「令和最初の新人」としての活躍が期待され始める時期である。若手が成果を上げれば、企業が活性化するのは間違いない。

▼平成の初めはバブル経済全盛だった。低成長の現在とは大きく異なるが、新卒の就職が圧倒的な売り手市場である点は同じだ。就活で苦しまなかったバブル世代は、その後の金融危機やリーマンショックの中で逆に厳しい局面に立たされてきた。今や、どの企業でも、人員構成の平準化を進める上で、就職氷河期世代とバブル世代の扱いが課題になってきている。

▼令和の新人に望むのは「会社に属する従業員」にとどまらずに「一人のビジネスマン」として確固たる基盤を築くことだ。企業もそうした視点を持って若手を育ててほしい。個々の企業の経営理念や社業の目的はもちろん重要だが、社内でしか通じない古いノウハウに社員を縛り付けてはいけない。会議の手順、顧客への営業方法など時代に合わせて見直すべきなのに、十年一日のごとく同じ作業を繰り返し、結果的に競争力を失った企業は少なくない。時代の変化を肌で感じている若手の「普通の感覚」を活用してこそ、新たなビジネスチャンスの可能性が広がると思う。

▼人手不足が続く今の段階では、早期離職・転職が増えるのはやむを得ない。人材の流動化自体は産業界にとっても有益だろう。ただ本来は、単なる労働力ではなく、ビジネスマンとしての能力を高め、第三者から見ても適切な市場価値を付けられる存在になることが望ましい。個々の企業も社会全体への効果を考慮し、若手への投資を惜しむべきではない。

(時事通信社常務取締役・中村恒夫)

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