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コラム石垣 2019年5月21日号 中山文麿

最近の宇宙に関する新しい知見には目を見張るものがある。重力波の測定やブラックホールの映像化など実に胸がワクワクする。今度ははやぶさ2がもたらす偉業に関心が集まる。

▼2014年、はやぶさ2が打ち上げられ、地球を利用したスイングバイでスピードを増し、昨年、地球から3・4億キロメートル離れた火星と木星の間にある小惑星の「りゅうぐう」周辺に着いた。そして、今年2月、はやぶさ2は目標地点から誤差1メートルの正確さでタッチダウンしてサンプルを採取した。りゅうぐうとは通信だけでも20分はかかる距離なので全部自動で行われた。

▼その後、りゅうぐうの上空から2キログラムの銅の弾丸を打ち込んで大きさ10メートルのくぼ地を作った。宇宙線や太陽風の影響で風化していない内部のサンプルを取るためである。

▼はやぶさ2はこのサンプルの採取後、今年中にりゅうぐうを離れ、来年のオリンピックの年の年末までには地球に帰還する予定である。

▼10年、初代はやぶさは数々のトラブルに見舞われながらも小惑星の「イトカワ」から1ミリグラム未満のサンプルを持ち帰った。その分析によると、イトカワは太陽系誕生後の姿を保っていることが分かった。イトカワは岩石からなる小惑星であるが、りゅうぐうは炭素を多く含んだC型小惑星といわれ、生命に必要な水やアミノ酸などの有機物が含まれていると想定されている。

▼地球は微惑星が衝突・合体してできた過程でドロドロに溶けたために初期の地球の状態は失われている。しかし、はやぶさ2から得られる情報は46億年前の太陽系そのものであり、その成り立ちや生命の起源、さらに小惑星の地球への衝突回避のための基礎的データが得られることが期待されている。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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