西宮市は9つもの大学・短期大学があるなど優れた教育・住環境を強みとしています。また、市内には皆さまご存知の阪神甲子園球場があります。加えて、最近は文化、芸術、アミューズメント、スポーツ、ショッピングなどの施設が相次いでオープンしており、豊かな都市生活を楽しめる集客力の強いまちが形成されつつあります。
産業は食品や清酒をはじめとする生活関連の集積が進んでいます。特に日本酒製造業は地場産業として発展しています。昨年度は「日本酒で乾杯条例」が制定されましたし、日本酒の日がある10月には、商工会議所が中心となって「西宮酒ぐらルネサンスと食フェア」を毎年開催しています。また、市内には工房型の洋菓子店が多くあります。商工会議所としても「ケーキ工房のあるまち西宮」を広く知っていただくため「西宮洋菓子園遊会」などのイベントを行うとともに、新たなスイーツの研究も進めています。
当社は寛文2(1662)年に創業。私たちは以来、「酒はつくるものではなく、育てるもの」であるという信念のもと酒づくりを続けてまいりました。宮水、良質な米、港、六甲おろしなどの自然の恵み豊かな西宮の風土なくして白鹿の酒は生まれませんでした。「白鹿」は西宮で生まれ、育まれてきたのです。企業は地域とともにあり、地域とともに発展します。そして、その地域と企業を支えるのは「人」です。私たちは、地域文化を育てるために教育事業にも取り組んでおり、大正9(1920)年に旧甲陽中学校を創設しました。この事業は、西宮の地域文化の発展を長期的なビジョンで考えることから始まったのです。
私は社会人の最初の5年間、アサヒビール社でサラリーマン生活を体験しました。そこで諸先輩から貴重な薫陶を受けるとともに、職場を支える裏方の苦労や言葉を心に刻みつけました。このことは酒づくりにも通じます。酒づくりの主役は、糀や酵母といった微生物。人間は彼らが力強く成長するための手助けをする脇役です。グループ事業の教育事業でも、私たちは裏方に徹し、子どもたちが生き生きと育つ最高の環境づくりに努めています。「一年の計は、穀を植うるにあり、十年の計は、樹を植うるにあり、百年の計は、人を植うるにあり」です。私たちは、これからも「育てる」をテーマに伝承と創造を積み重ねてまいります。
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