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コラム石垣 2014年8月1日号 宇津井輝史

負けた試合には価値がないのだろうか。スポーツを観る私たちは確かに勝敗に一喜一憂する。サッカーW杯など国際試合では国の勝利が国威発揚と結びつく。そこに商業主義が入り込む。

▼日本はブラジル大会で一度も勝てなかった。気迫を欠く日本社会を映すようにも見えた。サッカーの実力をつけるのが容易でないのを実感した人も多かろう。

▼サッカーは気迫と技術と頭脳のゲーム。敵の動きを予測し、次の展開を瞬時に読む判断の連続である。それを支えるのが球際の強さだ。両軍入り乱れての白兵戦だから「自分たちのサッカー」など、よほど力の差がない限りできない。相手の良さを消し、敵に思うような動きをさせないことこそサッカーの基本である。

▼欧州で活躍する選手も増えた日本だが、実力は相撲でいえば前頭下位。三役力士がひしめくW杯で勝つにはどうするか。迂遠だが、強国への道はサッカー民度を高める以外にない。

▼欧州や中南米の強豪国の選手が球際に強いのは国民のサッカー民度の反映だ。準決勝でドイツに惨敗したときのブラジル国民の落胆はその裏返しだろう。決勝トーナメントの各国の闘いは実に見応えがあった。一瞬の隙が勝敗を分かつこの競技の本質をどの国民も理解し、ゴールへの戦略を共有しているように見えた。対する日本。芸人を集めて「絶対勝つ」などと根拠もなくテレビで騒ぐのが悪いとは言わない。だが実力以上に強いと勘違いする空気は国民を鍛えない。

▼きれいに勝とうとするサッカーの時代は終わった。強い組織を目指して全体と個をどう調和させるか。全員が課題を共有し、自社の強みを生かして勝機を逃さない展開を経営者がどう作り出すか。W杯を経営の良き教訓としたい。

(文章ラボ主宰・宇津井輝史)

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