政府は1日、「働き方改革実現会議」の第6回会合を首相官邸で開催し、長時間労働是正などについて議論した。日本商工会議所の三村明夫会頭は、日商が実施した時間外労働規制に関する調査結果を説明。残業時間を延長できる36協定の特別条項の見直しについて、5割以上の中小企業が賛成していることから、時間外労働の上限規制の導入に「基本的に異論はない」と理解を示した。一方、見直しの方向性については、調査で「一律に規制するのではなく、柔軟な制度とすべき」との意見が多くを占めていることから、政府に一律で厳格な規制を設けないことなどを要望した。(関連記事2面に)
三村会頭は、「人手不足が深刻化する中において、多様な人材の活躍推進、生産性の向上、従業員の健康確保のためにも不要な長時間労働は是正すべきという立場であり、従って、何らかの時間外労働の上限規制を導入することについては、基本的に異論はない」と述べた。一方、企業には自社では解決できない問題や危機対応も多数生じるため、いわゆる1日単位での勤務間インターバル規制を含めて、一律で厳格な規制は設けないことを要望。業種業態、職種の特性に応じた上限時間の設定、業務の繁忙期も考慮し、月単位だけではなく、3カ月、半年、1年ベースで時間外労働の上限を管理するといった例を示し、柔軟で弾力的な制度とするよう求めた。
また、「長時間労働是正に向けて経営者・労働者双方が意識改革し、さまざまな取り組みが実を結ぶまでには時間がかかる」と指摘。政府の意向を示した後は、労使の自治を尊重し、十分な準備期間を設けるよう要請した。さらに、時間ではなく成果で評価する「高度プロフェッショナル制度」を盛り込んだ労働基準法改正案の早期成立を求めた。
安倍晋三首相は、「長時間労働の是正については、罰則付きで時間外労働の限度が何時間かを具体的に定めた法改正が不可欠」と強調。上限を決めるに当たっては、「いわゆる過労死基準をクリアするといった健康の確保を図った上で、女性や高齢者が活躍しやすい社会とする観点や、ワーク・ライフ・バランスを改善する観点など、さまざまな視点から議論する必要がある」と述べた。一方、「長時間労働は、構造的な問題であり、企業文化や取引慣行を見直すことも必要」と経済界における取り組みを要請した。
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