日本商工会議所が各商工会議所の協力の下に取り扱っている「ビジネス総合保険制度」の加入件数が、3万件を突破した。会員事業者の業務内容が多様化する中、既存の保険制度だけではカバーできない賠償責任リスクが多く存在。「施設」や「業務遂行」「管理財物」に関する賠償責任が問われるケースも増えてきている。本制度は、会員事業者を取り巻く事業活動リスクを包括してカバー。補償の漏れやダブりを解消し一本化して加入できることや、低廉な保険料を実現していることから会員事業者から広く支持を得ている。
本制度は、補償内容を賠償補償に限定した「賠償補償型」と、「賠償補償型」に事業休業補償や工事・財産に関わる補償を加えた「総合補償型」の2種類を用意。各地商工会議所の協力の下、引受保険会社で加入申し込みを受け付けている。
総合補償型は、さまざまな事故に対応が可能となっている。賠償責任補償の分野で新たに追加された「施設」「業務遂行」「管理財物」に関する補償では、例えば、「水道の締め忘れにより階下テナントの店舗を水浸しにした」「工事現場の資材が倒れて歩行者にけがを負わせた」「ホテルなどのクロークで預かった上着を汚した」といったケースにも対応する。
また、「製品の欠陥によって、消費者にけがをさせた」「製品への異物混入で食中毒が発生した」「消費期限などの品質保持期限の誤表示によるリコールを実施した」「サイバーテロによりお客さま情報が流出した」など、既存の「中小企業PL保険制度」「情報漏えい賠償責任保険制度」で補償対象となっている事故にも対応。補償の漏れやダブりを解消し一本化して加入できる。
加えて、総合補償型は、全国各地で発生している集中豪雨や台風による風災・水災などの突発的な自然災害や火災などに見舞われた際の事業休業に伴う売上高(利益)減少に対応する補償を商工会議所の保険制度として初めて導入。引受保険会社によっては、地震による事業休業リスクも対象にしている。
また、総合補償型は商工会議所が強く推進している事業継続計画(BCP)の策定と関連性が深い。大規模災害などの緊急時への備えとしてどちらも準備しておくことで、企業としての危機管理能力を高めるだけでなく、事業活動の継続・早期復旧などにより、取引先への製品・サービスなどの供給責任を果たし、顧客の維持・獲得および企業信用の向上が期待できる。
保険料水準は、全国商工会議所のスケールメリットを生かした団体割引による割安な水準(割引率は約1~3割程度)を実現。売上高を基礎とした簡易な引き受け方法としたことから、多くの会員事業者が加入しやすい制度となっている。
本制度に加入した会員事業者からは、「火災保険、賠償責任保険に加入しており複数契約の管理が大変だったが、まとめることで漏れ・ダブりを解消して、必要な補償を加えることができた」(清掃)、「業務中や業務後の賠償に備え複数の保険加入をしていたが、まとめて加入して保険料が節約できた」(機械設備修理)などの声が寄せられている。
「ビジネス総合保険制度」をはじめ、商工会議所会員事業者向けの各種保険制度の詳細は、 https://hoken.jcci.or.jp/を参照。
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