改革の断行求める 三村会頭「安定政権の責務」
日本商工会議所は9月15日、第124回通常会員総会を都内で開催し、全国367商工会議所から会頭・副会頭ら約820人が出席した。総会の冒頭にあいさつした日商の三村明夫会頭は、「日本経済の成長力を高めるために、強固な成長基盤を構築しなければならない」と強調。潜在成長率引き上げのためのサプライサイド政策の実行を政府に求めるとともに、「商工会議所のネットワークを最大限活用して、山積する諸課題を乗り越えていきたい」と決意を述べた。
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三村会頭は、あいさつの中で、「政府には、安定政権ゆえの責務として、たとえ痛みを伴う政策でも、負担の分配政策として国民・各界に丁寧に説明し、コンセンサスを得て改革を断行してほしい」と強調。早急に取り組むべき課題として「企業の競争力を強化するビジネス環境の整備」「地方創生の実現」「人口減少対策の加速化と社会保障制度改革の断行による将来不安の払しょく」の3点を述べた。
ビジネス環境整備については、臨時国会における環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の承認、ICTやロボットによる生産性向上に向けた人材確保や資金の支援などを求めた。地方創生の実現に向けては、域外需要を取り込むことが重要と指摘。解決方法として「観光振興と農商工連携が鍵」と語った。
一方、過去最高の引き上げ幅となった最低賃金ついて、「中小・小規模企業が対応するには、収益力の向上が不可欠」と強調。取引価格適正化に向けた独占禁止法の運用強化などを政府に要請した。また、近年の最低賃金の引き上げに対して、「景気や経営状況とかい離した引き上げが行われている」と懸念を表明。最低賃金の審議の在り方について再検討を求めた。
総会では、安倍晋三内閣総理大臣が来賓としてあいさつし、「下請取引の条件改善に全力で取り組む」と強調。下請法や独占禁止法の運用を強化し、業種別のガイドラインを充実させる考えを示した。
また、世耕弘成経済産業大臣、自由民主党の二階俊博幹事長、民進党の岡田克也代表(当時)、公明党の山口那津男代表、日本維新の会の片山虎之助共同代表が来賓としてあいさつした。
総会議事では、「平成27年度事業報告(案)」と「同収支決算(案)」が異議なく承認された。
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