政府はこのほど、2016年度から5年間を東日本大震災からの「復興・創生期間」と位置付け、復興の「総仕上げ」に取り組むことなどを示した復興基本方針を閣議決定した。切れ目のない被災者支援を行うとともに、東京電力福島第一原発事故の対応には引き続き国が前面に立つと明記。事業の財源は10年間の総額で約32兆円を確保する。
10日に首相官邸で開いた第15回復興推進会議で、安倍晋三首相は、「新たな5年は、地震・津波被災地の復興の『総仕上げ』、福島の『本格的な復興』に向けたステージである」と強調。「『風化』と『風評』という『2つの風』との戦いであり、国内外で、被災地を支援する機運を高める」との考えを示した。
基本方針では、50の対策からなる「被災者支援(健康・生活支援)総合対策」の推進や、災害公営住宅や高台移転について17年度までに計画の9割を完了させることなどの具体策を決定。復興道路・復興支援道路の緊急整備とともに、高速道路、鉄道、港湾などのインフラ整備についても完了時期を明示した。
産業・なりわいの再生に向けては、観光振興、水産加工業の販路開拓支援、農業の大規模化など「産業復興創造戦略」に基づき、地域経済の再生を推進。観光については、「外国を中心に風評被害の影響が残り、教育旅行の回復も遅れている」として、16年を「東北観光復興元年」として、広域観光周遊ルートづくりの推進を盛り込んだ。
原発事故への対応については、17年3月までに、避難指示解除準備区域・居住制限区域の避難指示の解除を目指す。福島の復興・再生には「中長期的な対応が必要」とし、21年度以降も国が前面に立って取り組む考えを示した。
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