政府の「日本版CCRC構想有識者会議」はこのほど、地方移住を希望する東京圏などに在住する高齢者の受け皿となる日本版CCRC(Continuing Care Retirement Community)構想の基本的考え方や制度化の方向性などに関する中間報告を取りまとめ、公表した。構想の名称を「生涯活躍のまち」構想としたほか、移住受け入れに前向きな地方自治体の役割などを示した。年末までに最終報告を取りまとめる。
CCRCは、米国のシニアコミュニティーで、全米で約2千カ所、約60万人の高齢者が居住していると推計されている。「日本版CCRC」は、国の地方創生に向けた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に明記され、導入が検討されている。
中間報告では、国が支援する地方自治体の条件として、平成28年3月までに策定する「地方版総合戦略」にCCRC構想を盛り込む案を提示。国の示す「基本方針」に沿って、地域の特性や強みを生かした、構想の基本コンセプトを固め、「構想案」と「基本計画」として取りまとめることも求めている。
地方自治体は、実際にCCRCを運営する民間企業や医療・社会福祉法人、NPO、まちづくり会社などから提出された「事業計画」を審査し、「運営推進法人」を選定。運営推進法人は多様な優遇措置があるほか、サービス付き高齢者向け住宅運営会社や医療・介護施設など関係機関との連携についても支援を受けることができる。
平成28年度に創設する自由度の高い「新型交付金」を活用し、先駆的で優良な事業を行う地方自治体に交付するほか、高齢者の移住を受け入れた地方自治体の介護保険料負担増への軽減策を検討。国に対しては、住み替えの円滑化に向けた中古住宅の流通の促進などの支援策も求める。
政府は、今年度中にも希望する地域で先行的なモデル事業を実施。28年度以降に、「生涯活躍のまち」構想の本格的な制度化に取り組む。
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