経済産業省はこのほど、2030年度のエネルギーミックスなどを示した「長期エネルギー需給見通し」を決定した。30年度の水力・石炭火力・原子力などのベースロード電源比率は約56%。原発依存度は20~22%に下げる。また、13年比で約17%減とする厳しい省エネ目標を設定。中小企業への省エネ支援策拡充の方針が示された。
今回の決定は、「エネルギー基本計画」(平成26年4月11日閣議決定)の方針に基づき、総合資源エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通し小委員会における取りまとめを踏まえたもの。エネルギー政策の基本的視点である、安全性、安定供給、経済効率性および環境適合(S+3E)について達成すべき政策目標を想定した上で、政策の基本的な方向性に基づいて施策を講じたときに実現されるであろう30年度のエネルギーミックスの見通しを示した。今後少なくとも3年ごとに行われるエネルギー基本計画の検討に合わせて、必要に応じて見直しを行う。
新しいエネルギーミックスでは、震災後の原発停止で火力発電に使う化石燃料の輸入増に伴う電力コストの急増について、「電力コストを現状よりも引き下げる」ことを明記。太陽光発電などの再生可能エネルギーは22~24%程度、LNG火力は27%程度、石炭火力は26%程度、原子力は20~22%、石油火力は3%程度などの電源構成の具体的な数値目標を示した。
調整電源として火力を伴う太陽光と風力については、「最大限の導入と国民負担抑制」をバランスさせる考えを提示。国民負担増大の懸念を招いたFIT(固定価格買取制度)の制度見直しも決めた。
一方で、省エネに関しては、最終エネルギー消費で13%減、電力需要で17%減の厳しい削減目標を設定。目標達成に向け、産業部門において、工場のエネルギーマネジメントや革新的技術・高効率設備の開発・導入、中小企業の省エネを促進するための支援拡充の方針が示された。
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