政府はこのほど、新たな「知的財産ビジョン」と「知的財産推進計画2018」を策定した。知的財産ビジョンでは、さまざまな新しい価値をつくって発信し世界の共感を得る「価値デザイン社会」を目指すべき社会の姿として提案。価値デザイン社会を実現するために、新たな価値創造を行える人材の育成、多様な人材が集う場の形成などに取り組むことが必要としている。
知的財産推進計画では、新ビジョンの実現に向け、政府が取り組む施策が盛り込まれている。地域経済の担い手である中小企業の支援については、「地方創生を実現するためには、中小企業がより主体的に価値創造の中での知財の位置付けとその役割を認識し、これを活用できるようにするための支援が必要」と指摘。全国47都道府県に設置された知財総合支援窓口における、支援担当者の増員、専門家の活用、直接訪問による支援、中小企業支援機関との連携などにより相談体制の強化を図る。
また農業分野については、地理的表示の活用によるブランド化の推進に向け、日EU経済連携協定(EPA)に対応し、より高いレベルで地理的表示の保護を図るため、広告・インターネット販売などのサービス分野も地理的表示の保護対象とし、現行法では無期限に認められている先使用期間を制限することなどを内容とする法律改正を行う。さらに、ICTなどを活用し、幅広くデータの取得・共有・活用ができる農業データ連携基盤を整備することなどによって、「スマート農業」「スマート林業」「スマート水産業」の実現に向けて取り組む。特に農業分野においては、取得したデータを他者に提供・使用許諾する際の具体的な契約条項のひな形などの検討を行い、農業データ連携基盤などに活用できるデータ利活用・契約に関するガイドラインを作成する。
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