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こんなときどうする会社の法律Q&A 【今月のテーマ】災害時における事業資金の確保

Q 平成28年4月の熊本地震のような、予期せぬ災害が発生した場合、中小企業の事業継続のための資金確保について、どのような措置が講じられていますか。

A 災害復旧のためには、早期に事業を再開されて商品やサービスを供給し、雇用の確保を図ることが重要です。そのためには事業資金の確保がまず問題となります。今回は、災害時に利用可能な融資などについて、激甚災害法により認められる制度と、それ以外の制度について解説します。緊急的な融資を受けることを希望する中小企業の資金需要に関しては、「それ以外」の制度が重要です。

激甚災害法による指定

激甚災害法(「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」)は、災害復旧事業の国庫補助のかさ上げなど地方公共団体に対して財政援助を実施するもので、社会的インフラ(道路、鉄道網、公共施設)の災害復旧や仮設の宿泊所、避難所の設置など緊急の財政措置に関する地方と中央行政間の財務経費負担の割合を調整する特例を定めています。

適用措置を大別すれば、一つは「地方財政の負担の緩和」という、災害から社会的インフラ(大量の泥土、浸入した水の排除。学校や公営住宅など)の復旧事業に対して交付金を交付、あるいは地方公共団体の負担を減少させる助成措置です。もう一つは「被災者に対する特別の助成措置」という民間を対象とするもので、事業者の事業資金には次の二つの措置が規定されています。

①中小企業信用保険法による災害保証の特例(12条)

事業者が信用保証協会の保証により金融機関から融資を受ける制度が設けられています。日本政策金融公庫(以下「日本公庫」)が「セーフティネット枠」を設けており、激甚災害を受けた中小企業者などへの融資の保証に対して保険枠を設定するため、協会に枠内での保証を依頼して金融機関から融資を受けるという方法が考えられます。

②事業協同組合などの施設の災害復旧事業に対する補助(14条)

都道府県が、激甚災害を受けた事業協同組合や同小組合などの倉庫、その他共同施設の災害復旧事業に要する経費につき4分の3を下らない率により補助する場合には、国が予算の範囲内において、経費の3分の2を補助することができるとされています。

災害時の緊急融資あるいは既存債務の返済猶予

中小企業庁は熊本地震で全45市町村へ災害救助法を適用し、次の被災事業者対策を行うとしました。今後大きな災害が発生したときは、同様の措置が講じられるでしょう。

①相談窓口の設置

日本公庫、商工中金などへ特別相談窓口の設置。

②災害復旧貸付の実施

事業者を対象に、被害を受けた県内の日本公庫や商工中金が運転資金または設備資金を別枠の限度額で融資を行う。

③セーフティネット保証4号

売上高などが減少した事業者を対象に、県の信用保証協会が一般保証とは別枠の限度で融資額の100%を保証。

④既往債務の返済条件緩和など

被害を受けた中小企業・小規模事業者の実情に応じて対応。

⑤企業共済災害時貸付の適用

各市町村の小規模企業共済契約者に対し、中小企業基盤整備機構が原則として即日、低利で融資を行う。

実際の行動

災害後、事業者の方はBCP計画や財務モデルを元に、事業の継続あるいは復旧のため今後必要となる資金を早期に検討し、同資金の調達方法を考えることが重要です。

資金が不足する場合には「相談窓口」に緊急融資の利用が可能か、可能である場合は融資条件などを相談されることが必要です。

(弁護士・川島 英明)

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