日本商工会議所は10月31日、10月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は10月16~20日。全国422商工会議所が3861企業にヒアリングした。
10月の全産業合計の業況DIは、マイナス16・0と、前月からマイナス0・7ポイントのほぼ横ばい。電子部品、自動車、産業用機械関連の生産や、インバウンドを含む観光需要が引き続き堅調に推移した。他方、公共工事の一服感を指摘する声が聞かれたほか、長雨などの天候不順による客足減少、人手不足の影響拡大、運送費・原材料費の上昇、消費者の低価格志向を指摘する声も多い。中小企業の景況感は総じて緩やかな回復基調が続いているものの、そのマインドには依然として鈍さが見られ、足元でほぼ横ばいの動きとなっている。
ヒアリングした企業からは、「世界的な需要増で、自動車やロボット関連からの引き合いが多く、売り上げは改善。すでにフル生産の状態だが、それでも需要増に追い付かない」(電子部品製造)、「建設業の民間工事受注が堅調で、売り上げは改善。幹線道路沿線では、インバウンド需要獲得を目指し、ホテル建設など不動産活用の動きがあり、今後の受注増が期待できる」(建設資材卸売)などの声が寄せられた。
一方、「民間工事を中心に工事案件は豊富なため、売り上げは改善。だが、自社の人手不足のほか、下請企業の人手不足も深刻なため、受注を見送ることが増えている」(一般工事)、「売り上げは堅調だが、人材の確保に苦戦。求人に要する費用が売り上げの2%近くに達するなど、利益が大幅に圧縮され、採算悪化となった」(飲食業)といった人手不足への影響を訴える意見も聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス14・1(10月比プラス1・9ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。輸出や設備投資の堅調な推移や株高進行による個人消費の持ち直し、インバウンドを含めた観光需要拡大などへの期待感がうかがえる。他方、人件費の上昇や受注機会の損失など人手不足の影響の深刻化、運送費・原材料費の上昇などを懸念する声も多く、中小企業においては先行きへの慎重な見方が残っている。
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