日本商工会議所は11月17日、自由民主党「人生100年時代戦略本部」の経済団体ヒアリングに出席し、待機児童対策などの財源負担として事業主拠出金を引き上げることに対する日商の考え方を述べた。日商からは、経済界に対する3千億円の負担要請について「容認していない」と強調。子育て支援は国の最重要政策の一つであると認識しているが、その財源は社会全体で子育てを支えていく観点から、高齢者に過度に偏った社会保障給付を見直すとともに、安定的な財源確保のためにも税による恒久財源で賄うべきと主張した。
政府案では、事業主拠出金の料率引き上げを財源とした3千億円の子育て支援事業のうち、2千億円は認可保育所の件数増加分の運営費に充当するとしている。しかし、法改正が必要な使途拡大であることに加えて、認可保育所の増加件数次第で、今後、所要額が際限なく拡大していくことが懸念される。
また、2017年度は料率0・23%で約4千億円規模となっている中で、中小企業はその6割弱を負担していると推測されるが、中小企業の労働分配率は70%超、小規模企業は80%超であることから、支払余力は高くない。加えて、人手不足による防衛的な賃上げや最低賃金引き上げへの対応、社会保険料の負担増などへの対応を迫られていることから、中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増している。
こうした状況から日商は、「現行の事業主拠出金の制度概要や料率、さらには待機児童解消への貢献度などについては、認知度が不足している。企業に説明し、意見を聞いてほしい」と要望。また、今後、事業主拠出金の料率引き上げ、使途拡大に当たっては、拠出金に基づく子育て支援事業の効果を検証し、中長期の事業計画を明らかにした上で、審議会などオープンな場で透明性の高い議論を行うよう求めた。さらに、料率の引き上げが続いている中で、事業主拠出金は赤字企業も含め全ての企業を対象に徴収されることから、仮に料率がさらに引き上がるならば、中小・小規模企業への特別な配慮を行うよう強く訴えた。
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