海外インターンシップで次世代リーダーを創出
タイガーモブ株式会社 代表取締役 菊地 恵理子(きくち・えりこ)
受け入れ先は世界35カ国
私は2016年に海外インターンシップを企画・運営する会社を起業し、現在アジア新興国を中心に世界35カ国230件のプログラムを紹介しています。起業するまでは、人材採用コンサルティング会社で企業の採用支援や学生の就職活動支援に携わっていました。その中で疑問を感じたのは、かつてない速さでグローバル化が進んでいるのに企業も学生も変わらないこと。〝グローバル〟の定義が曖昧なため採用後にミスマッチが生じる、外国人の採用は後回しにする、人材がいないからと海外進出を諦める……。時代の流れに逆行していると危機感を持ちました。変わった方がよいと分かっていても行動しなければ変わりません。それなら行動を起こせるチャレンジングな人材を海外インターンシップで育成したい、日本を支えていける若年層を輩出したいと思うようになりました。
そこで、海外の企業へ日本のインターンシップ生を派遣する事業を社内で立ち上げたのです。バックパッカーをしながら海外企業に営業し、インターン生と現地企業の交流イベントを開催するなど試行錯誤しながら受け入れ先を増やしました。その経験と実績を基に独立、タイガーモブを設立しました。当社の海外インターンは急成長する中国・深圳(しんせん)の視察合宿やアフリカ・ルワンダで現地企業の課題に取り組むプログラムなど多種多様で実践的。大学生を中心に高校生や社会人、企業の人材育成にも活用されています。「あの経験があったから今がある」と思える機会を提供したいと思っています。
リーダーが集うコミュニティーを育てる
また、当社は海外インターン経験者や参加予定者などが情報交換する場を提供しようと、ウェブ上にコミュニティーを運営しています。海外インターンでは、異文化の中で実践経験を積むため、さまざまな葛藤を通して「自分とは何か」「自分は何がしたいのか」などアイデンティティーと向き合う機会が増えます。その中で自身の強みや弱みを知り、強みを生かして成果を上げる人たちをこれまでにたくさん見てきました。彼らが集まると、相乗効果で切磋琢磨し、共に新たな何かを立ち上げる、そんな場面にも遭遇しました。私は、当社のコミュニティーを、彼らのような次世代のリーダーが集結する場に育てたいと考えています。
会社を立ち上げる直前、実は「社長になれば、全てを自分で決めなければならない」と思い込み、苦しんだ時期がありました。周りからも、「起業なんて簡単にするものじゃない」と言われて悩みました。でも、多くの励ましの声を受け、「私は私でいい」と腹をくくったとき、覚悟が決まりました。私たちの目標は、海外インターンを通して次世代リーダーを輩出すること。リーダーとなる人がどんどん増えれば、彼らに続く人たちがまた現れ、その流れは未来へと続いていくでしょう。その未来を実現すべく、〝虎のように勢いよく〟まい進していきます。
会社データ
社名:タイガーモブ株式会社
所在地:東京都渋谷区神宮前2-13-8 アビターレ神宮前A4
電話:03-4531-9463
創業:2016年
事業概要:人材派遣・人材育成(海外インターンシップ・研修の企画・実施)
※月刊石垣2018年7月号に掲載された記事です。
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