日本商工会議所はこのほど、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果とともに、2017年度の所定内賃金の動向について、全国の企業にヒアリングした結果を発表した。17年度に賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)(全産業)は61・9%と前年同月調査と比べ、7・0ポイント増加した。他方、「未定」は20・5%と2・5ポイント減少、「見送る」は17・6%と4・5ポイント減少した。
賃金の引き上げを実施した企業を業種別に見ると、建設業、製造業、卸売業で約7割と高水準となった。一方、小売業は46・9%とやや低い水準にとどまった。
賃金を引き上げる主な理由としては、「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が82・8%で最多。「業績が改善しているため」が28・4%で後に続いている。また、賃金の引き上げを見送る主な理由としては、「今後の経営環境・経済状況が不透明なため」(67・4%)、「業績の改善が見られないため」(52・5%)が上位となった。
ヒアリングした企業からは、「売り上げが改善しており、従業員の生活水準維持とモチベーション向上の観点から、定昇とベアを実施した。さらに、頑張って成果を出している従業員に応えるべく評価給を上乗せしている」(自動車・付属品製造)、「売り上げが増加していることから今夏の一時金は昨年並みに支給した。しかし社会保険料の会社負担が増えており今後の情勢が不透明なことから、今年度の賃金の引き上げは現時点では未定」(青果卸)、「昨年の店舗リニューアル効果が徐々に薄れ、売り上げが減少していることから今夏の一時金は引き下げざるを得なかった。今年度の賃金の引き上げは見送る」(靴小売)といった声が寄せられた。
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