日本商工会議所は8月31日、8月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。8月の全産業合計の業況DIは、マイナス18・2と、前月からマイナス2・1ポイントの悪化となった。調査期間は8月16~22日。全国423商工会議所が3798企業にヒアリングした。
調査結果では、関東を中心とした記録的な長雨に伴う客足の減少や、農産物の不安定な出荷から、サービス業や卸売業、小売業の業況感が押し下げられた。また、人手不足の影響拡大や消費者の節約志向を指摘する声も多い。
他方、日商では、「電子部品、自動車関連の生産や、夏休みのインバウンド需要が好調に推移したほか、建設・設備投資の堅調な動きも続いている。中小企業の景況感は総じてみれば緩やかな回復基調が続くものの、足踏み状況となっている」と分析している。
ヒアリングした企業からは、「台風や長雨による日照不足で、夏野菜を中心に青果物が品薄状態となっており、売り上げは悪化」(農産物卸売)、「雨天の日が多く、地域の夏祭りの日も天候に恵まれなかったため、前年に比べ大幅に売り上げが悪化。特に生ビールなど飲料の売れ行きが鈍かった」(飲食)といった長雨の影響に関する意見が多く聞かれた。
また、「人件費の上昇に伴い採算も圧迫」(土木工事)、「人件費や運送費の上昇に伴い、収益率は低下」(建設資材卸売)、「人手不足により外注費の負担が重くなっている中、秋からさらに最低賃金が引き上げられれば、採算が大きく悪化」(ビルメンテナンス)など人件費上昇や人手不足の影響を訴える声も多数寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス16・4(8月比プラス1・8ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。輸出や設備投資の堅調な推移、インバウンドを含む観光需要の拡大に加え、公共工事の増加などへの期待感が伺える。
他方、深刻な人手不足の影響拡大や、消費者の節約志向、運送費・原材料費の上昇、地政学的リスクなどを懸念する声が多く、中小企業においては先行きへの慎重な見方も続いていると日商ではみている。
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