国の中央最低賃金審議会(仁田道夫 国士舘大学経営学部教授)は7月29日、平成26年度の地域別最低賃金の改定額の目安について、厚生労働大臣に答申した。これにより、労働者の最低賃金(時給換算)の全国加重平均額は16円上昇し、780円になる。
審議会では、今年の最低賃金が869円と最も高い東京都などでは、目安額をプラス19円と提示。最も低い沖縄、鳥取、島根、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎の9県ではプラス13円とした。今後は、この中央の審議会が示した目安を参考に、各都道府県に設置されている地方最低賃金審議会で審議が行われ、最終的な地域別の最低賃金が決定される。
7月28日から翌29日にかけて開催された目安に関する小委員会(中央最低賃金審議会の下部組織)では、労使双方の主張には大きな隔たりがあったことから、最終的には、公益委員による見解が示されることとなり、その見解が審議会の答申となった。
同小委員会では、非現実的な引き上げ幅を求める労働者側委員に対し、使用者側委員は、「円安による原材料価格など仕入コストが高まっているほか、電力料金の上昇やガソリンなど燃料費の高騰、人手不足に伴う募集賃金引き上げによる人件費の増大などの影響が広がっている」ことなど中小企業・小規模事業者を取り巻く厳しい経営環境を説明。人手不足のために生産・営業活動を抑制している企業も出てきていることなど各地中小企業の窮状を訴えた。
一方、生活保護水準が最低賃金を上回る逆転現象は、今回の最低賃金引き上げにより全国で解消されることとなった。昨年度乖離額が11円と最も大きかった北海道でも14円引き上げの目安が示されたため、生活保護の受取額を上回る見通しとなっている。
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