日本商工会議所は9月26日、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会とともに、都内で小渕優子経済産業大臣との懇談会を開催した。会合には、日商から三村明夫会頭、西村貞一中小企業委員長(大阪・副会頭)、曽我孝之中小企業副委員長(前橋・会頭)らが出席。経産省からは小渕大臣、高木陽介副大臣、山際大志郎副大臣、関芳弘大臣政務官、岩井茂樹大臣政務官ら幹部20人が出席して意見交換を行った。
懇談会であいさつした三村会頭は、「人口減少による地域経済の衰退が深刻化し、また足元では、中小企業の景況感の回復に力強さを欠く中、再び円安が進行しており、そのメリットを受けにくい内需依存型の中小企業から、先行きに確信が持てないとの声が聞かれる」と中小企業を取り巻く厳しい環境を指摘。「地域に『ひと』が残る『しごと』をつくることが重要であり、そのためには、『まち』や地域全体の活性化と、中小企業個社の活力強化の両面からのアプローチが必要」との考えを示し、経産省に対して、地域資源の活用、中核企業の育成支援、創業や事業承継、販路開拓の支援などを求めた。
意見交換で西村委員長は、補正予算におけるものづくり補助金や持続化補助金の拡充を求めるとともに、中小企業のコスト負担増の問題に言及。「原材料やエネルギーコスト、労務費のコストアップ分を価格転嫁できず収益にマイナスの影響が出ている」と述べ、電力の低廉化・安定供給に向け、安全が確認された原発の早期再稼働について、国が前面に立って、地元自治体や国民の理解を得るよう求めた。また、曽我副委員長は、前橋商工会議所の産業振興やまちづくりの取り組みを説明。政府の地方創生に向けた施策について期待を表明した。
小渕経産相は、現在の経済情勢について、「アベノミクス効果で長引くデフレは解消に向かっている」と述べる一方で、「地方、特に中小企業の状況はまだまだ厳しい」と指摘。「アベノミクスの効果を全国津々浦々まで届けることが使命だ」と強調した。
このほど立ち上げた「まち・ひと・しごと創生本部」などにおける地域活性化やまちづくりの取り組み推進については、「省庁の枠を超えて、農業関係、観光振興なども含め、地域と連携し、点ではなく面の支援が重要」と指摘。地域資源のブランド化支援、小規模支援策の強化、起業・創業の支援などに力を入れる考えを表明した。
また、6月に成立した小規模企業振興基本法について触れ、「今年は、小規模企業振興元年であると考えている」と述べるとともに、「中小企業・小規模事業者の発展に全力で取り組む」考えを改めて示した。
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