日本商工会議所は8月31日、8月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。8月の全産業合計の業況DIは、マイナス14・9と、前月からプラス5・1ポイントの改善。外国人観光客の増加などにより好調な観光関連産業が全体をけん引し、3カ月ぶりの業況改善につながった。調査期間は8月17~21日。全国422商工会議所が2976企業にヒアリングした。(関連記事2面に)
3カ月ぶりの業況DIの改善について日商では、「好調な観光関連が全体をけん引する中、プレミアム付商品券などの政策効果や猛暑の影響による受注・売上増が見られたほか、住宅・設備投資も持ち直しに向けた動きが続く」と分析している。一方、「『悪化』から『不変』への変化もDIの押し上げ要因となったことに留意が必要」と指摘。価格転嫁の遅れや人手不足、人件費の上昇が足かせとなる状況は変わらず、地域や業種によって回復のペースにばらつきが残るなど、一進一退の動きとなっている。
業種別に見ると、建設業からは、「小規模マンションなど住宅関連の受注が増えてきている」(一般工事)などの声が寄せられた一方、「建築コストの増大に伴い、計画の見直しや延期を決める顧客が出始めており、先行きの見通しが立てづらい」(一般工事)といった先行き不安への懸念も聞かれた。製造業からは、「エアコンをはじめ家電関連の受注が持ち直している」(電気機械部品製造)といった声が聞かれた一方、「原材料価格上昇分の転嫁が困難」(食料品製造・販売)などの指摘もあった。
卸売業からは、「帽子など夏物商品の受注が好調」(服飾品卸売)、小売業からは、「プレミアム付商品券の効果により、ギフトや化粧品、婦人服、時計が好調」(百貨店)といった声が寄せられた。
サービス業からは、「外国人観光客の利用が増えている。さらなる集客を図るため、外国人向けのメニュー開発やサービス強化を図る予定」(飲食店)、「8月は満室の状況が続いた。また、9月にある連休の予約も埋まり、業績は好調に推移している」(旅館)などの声が聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス13・5(今月比プラス1・4ポイント)と改善を見込んでおり、プレミアム付商品券などによる消費喚起や、インバウンドをはじめとする観光関連の需要増、住宅・設備投資の回復などへの期待感が伺える。一方、日商では、「コスト増加分の転嫁遅れや人手不足の状況が続く中、企業からは、食料品などの値上げに伴う消費者マインドの低下や、中国経済の減速による影響を懸念する声が聞かれるなど、先行きに確信を持てない企業も多く、回復に力強さを欠く」と分析している。
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